国会質問アーカイブ

2/26 予算委員会 石破総理出席、NHK中継

本庄さとしYouTube
委員会提出資料PDF

質問要旨

1. ウクライナ侵略3年

2. 自公維3党合意
 ○所要額と財源
 ○国民医療費の削減、社会保険料負担の引き下げ

3. 立憲民主党の予算修正案、特に財源確保
 ○予備費
 ○グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)基金
 ○宇宙戦略基金
 ○防衛装備移転円滑化基金

4. 防衛力整備計画43兆円の再精査

要求大臣  総理、財務、厚労、文科

政府参考人 内閣官房(GSC)、内閣府(宇宙)、防衛省

配付資料  あり

パネル   あり

議事録

○安住委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。黒岩君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。

○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。本日もよろしくお願いいたします。
 昨日通告したものの前に、一つ、先ほど、午前中の岡本あき子委員の質問に関連してお伺いをしたいと思います。
 総理は、高額療養費制度の多数回該当について答弁されました。長期療養の方が、一度症状が収まり、二年後に再発した場合でも、その患者が多数回該当に当たる場合、自己負担は低く据え置かれる、こういった御趣旨の答弁だったと思います。これは非常に誤解を招く不正確な答弁だと思うんですね。
 二年後の再発で、がん患者の方が多数回該当から一度外れる。多くの場合、そういうケースが多いと思うんですね。新しい、高い限度額の高額療養費の対象になってしまうわけです。したがって、総理の御答弁は、今、高額療養費の下でどうなるのかと御不安になられている方々に間違ったメッセージを与えている、その可能性がすごく高いというふうに思います。
 そこで、厚労大臣、正確にもう一度御答弁をいただきたいと思います。

○福岡国務大臣 午前中の質疑におきまして、総理からは、何年か前から治療しており、一旦治療が終了した後に再度治療を再開した場合であっても、多数回該当に当たる場合には負担が軽減、抑制される旨答弁されたと承知しています。
 具体的に申し上げますと、病気が完全に治癒されたものの、その後、例えば二年後に新たな病気が発症された場合には、その時点での制度が適用されるため、年収六百五十万円から七百七十万円の方であれば負担上限額は十三・八万円となり、四か月目以降は多数回該当に該当いたしますため、負担額が四万四千円に引き下げられます。
 他方で、一旦治療が終了された方であっても、その後も定期的に通院され、引き続き高額療養費の対象となられている方もいらっしゃいます。その場合は、仮に再発された場合であっても、引き続き多数回該当の場合の自己負担額、四万四千円に抑えられることになります。

○本庄委員 今お聞きになってもうお分かりだと思うんですが、極めて例外的ですよ。こんな、二年も三年もたって再発して、それでまたこの旧制度、低く抑えられている制度の対象になるというのは。
 したがって、我々は、一旦ここは立ち止まって、もう一度この制度についてよく検討すべきだ、こういう提案をしています。二百億円の財源でこれは達成可能で、それにきちっと見合うだけの財源も我々は提案をしております。改めて総理の御見解をお伺いしたいと思います。

○石破内閣総理大臣 午前中の私の答弁が不十分であった点は、これはおわびを申し上げますが、今厚労大臣からお答えをしたとおりでございます。
 ですから、それは数は少ないではないかとおっしゃいますが、そういう方がおられることもまた間違いない事実でございまして、そういう方々に対して、私どもとして適切な施策を講じていくというのは当然のことでございます。数が少ないからいいではないかとか、そういう話には全くなりません。これはきちんと対応させていただくところでございます。
 あわせまして、二百億、たったという言葉を委員がお使いになったかどうかは別といたしまして、やはりこの制度というものをいかにして維持していくかということを私どもは考えていかねばなりません。一年で二百億円といたしましても、これはこれから先ずっと続いていく制度でございます。そうしますと、その部分の財源をどこから得るのかということも、私どもはきちんと手当てをしていかなければなりません。二百億円でいいからとか、基金を削ればできるではないかというお考えは、それは安定的な財源ということにはならないものでございます。
 私どもは、どうすればそういうような高い医療費というものに苦しむ方々を制度的にこれから先もきちんと対応することができるかということを考えているものでございまして、決して無責任にこのようなことを申し上げているものではございません。

○本庄委員 二つ申し上げたいと思うんですが、まず、少数例外的なものを挙げるべきでないと私は申し上げておりません。あたかもそれが多数で大丈夫ですよと受け取られかねないような御説明をされたから、問題があるんじゃないんですかと申し上げています。
 そしてもう一つは、財政は大事ですよ。持続可能な制度にしなきゃいけません。そのことは我々は否定しておりません。ただ、今、この来年度予算に当たって、拙速に決める必要があるのか。財政的な影響は二百億であって、仮にそれが今年削減ができないということになっても、私は、この制度の持続可能性に大きな影響を与えない、少し時間を取って、しっかりと議論すべきだというふうに思います。これは指摘にとどめさせていただきたいと思います。
 では、通告した内容に沿ってお尋ねをしていきたいと思います。
 まず、ウクライナ侵略三年ということです。
 二月二十四日でロシアのウクライナ侵略から三年がたちました。四万六千人のウクライナ兵が戦死をし、一万二千人以上の民間人が亡くなった。行方不明者は六万人を超える。少なくとも六百人以上の子供が命を落とし、二万人の子供がロシアに連れ去られたと言われています。まさに筆舌に尽くし難い悲惨な戦争であって、許されざるロシアの侵略行為です。改めて心からの哀悼の意を表するとともに、ロシアに対して強い非難を申し上げたいと思います。
 アメリカのトランプ大統領は、先日来、ゼレンスキー大統領は選挙なき独裁者だ、会議に出席する価値がない、ウクライナ侵略はロシアのせいではないなどと暴言を連発してきました。これにウクライナ側は反発をしています。これに対して、ドイツのショルツ首相やイギリスのスターマー首相などは、トランプ大統領の発言を否定し、あるいはゼレンスキー大統領への連帯を表明しています。
 他方で、石破総理は、一昨日のウクライナ支援に関する首脳会合、G7首脳テレビ会談まで沈黙を保っておられたのではないかと思うんですね。
 私は、もっと早く明確なメッセージを発するべきだったというふうに思います。なぜ総理は沈黙を保っておられたんでしょうか。

○石破内閣総理大臣 それは、どういうメッセージを発するべきだったということを委員はおっしゃっておられるのか、私はよく承知をいたしておりませんので、答えがかみ合わなかったら申し訳ないことでございますが、それは、アメリカの中にもいろいろな意見があり、世論調査でもいろいろな形がございます。
 アメリカの中の意見というものはいまだに明確になっておらない段階にあって、そしてまた、NATOという仕組みの中にいるそういう国々と、日米という二か国間の同盟しかない、言い方を変えれば、我が国にとって唯一の同盟国は合衆国でございます。いろいろな問題を抱えております中にあって、アメリカの考えというものがいま一つ明らかになっていない、そういう段階において、私はそのことに対して物を言うことはいたしませんでした。
 しかしながら、先般のG7の会議におきましても、この状況は一日も早く終わらせるべきである、そして、G7の結束が何より大事である、そして、今ウクライナで起こっていることはインド太平洋で起こることと密接不可分であるということを、我が国の立場として最大限申し上げてきたところであります。
 私どもとして、同盟関係の維持、そしてまた日本の国益の実現ということを最大限に考えて発言をいたしております。

○本庄委員 ちょっと私は耳を疑ったんですが、ゼレンスキー大統領が独裁者であるとか、あるいは、ウクライナ戦争はロシアの侵略ではない、ロシアのせいではないというようなことも、アメリカの中でいろいろな意見があるんでしょうか。私はそうじゃないと思いますね。
 私が申し上げた発するべきメッセージは、まさに総理がおととい出されたようなものなんです、内容的には。つまり、当事国ウクライナあるいは関係国のヨーロッパも一緒になってこの問題を解決すべきことであるとか、そういったことを私はもっと早く出すべきだったということを申し上げているんです。私から見れば、様子を見ていたというふうに見えるんです。
 そしてもう一つ、同盟国とおっしゃいましたけれども、私は、やはり言うべきときは言うべきだと思います。言い方、言う場所、言う相手、これはいろいろあると思いますよ。だけれども、何も発信しない、何も伝えていないというのは、私は同盟国としてあるべき姿ではないというふうに思います。いかがですか、総理。

○石破内閣総理大臣 それは、委員も外務大臣の秘書官をお務めになり、いつ何を言わねばならないか、TPOというものが外交において極めて重要であるということ。その場で格好いいことは幾らでも言えますが、それが我が国全体の国益を損なうことがないように。
 そしてまた、私は何度も、力による現状変更はあってはならないということは申し上げてきております。つまり、ロシアがやろうとしていることは力によって現状を変更するということであり、それはこの東アジアにおいても起こり得ることである。これは私どもの問題であるということをよく念頭に置きながら、そういうような力による現状変更は絶対あってはならないということは、一貫して我が国として主張しておることでございます。それを侵略と言おうが言うまいが、力による現状変更は絶対にあってはならないという我が国のメッセージは、当初から一貫しておるものでございます。

○本庄委員 私は、日本政府の発信や総理の発信が何も言っていないということではないんです。アメリカやトランプ大統領に対してきちっと物をおっしゃっているんですかということを伺っているんです。いかがですか、総理。

○石破内閣総理大臣 それは当然、大統領との会談において、力による現状変更は認められないという我が国の立場、そしてまた、これがインド太平洋地域の平和と安定と密接不可分なものであるということは明確に申し上げておるところでございます。

○本庄委員 それでは伺いますけれども、二十四日に国連総会で特別会合が開かれました。これはウクライナやEUが提出した戦闘の停止、それからロシア軍の撤退などを求める決議案ですけれども、日本を含め九十三か国の賛成多数で採択されました。しかし、アメリカやロシアなど十八か国が反対しました。
 続けて、アメリカは安保理に、侵攻など、ロシアへの批判的な文言を使わない、紛争の早期終結ということを書いた決議案を安保理に提出しました。イギリスやフランスなどヨーロッパの五か国が棄権しましたけれども、ロシアを含む十か国の賛成でこれが採択されました。私は、ヨーロッパとアメリカの分断がかなりこれで深まった、広がったというふうに懸念しています。
 日本は今、安保理のメンバーではありませんが、アメリカが提出した、侵攻など、そういった今まで使ってきた言葉を削除したような決議案に対して、どのように評価されていますか。賛成か反対か、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○石破内閣総理大臣 詳しくは外務大臣からお答え申し上げますが、おっしゃるとおり、私どもとして、今、安全保障理事会の非常任理事国でもございません。そういう立場にあります我が国がもし仮に非常任理事国なりせばという、仮定の問題にお答えすることは差し控えたいと思っております。
 ただ、おまえは何も言わぬじゃないかというふうなこと、あるいは日本国が何も言っていないじゃないかということでございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、G7の結束が必要であるということは何度も申し上げてきております。当然のことながら、アメリカを含むG7ということであって、そこは、委員がおっしゃいますように、アメリカとヨーロッパの国々の分断ということはあってはならないものだというふうな強い意識に基づくものでございます。
 そして、これを許すことがあれば、誤った教訓というものが定着をするというか、一回確立をすることになってしまうわけで、それが東アジアで起こったらどうしますかということ。さればこそ、欧州で起こっていることと、アジアで起こっていること、インド太平洋で起こることは一体だということを申し上げているところでございます。
 これは我が国がG7において強く主張しておることでございまして、それはアメリカもよく認識しておるところでございます。アメリカに対して、ウクライナで起こっていること、インド太平洋で起こっていること、これは私どもとして一体のものとして考えている、そして、G7の分断が絶対あってはならないということは常に申し上げておるところでございます。

○本庄委員 今評価を避けられたのは非常に残念です。つまり、侵攻とか侵略という、少なくとも日本政府として認定している文言をあえて落とした決議が出てきたわけです。先ほど言った総会の方でも同じような決議が出てきていて、これに対してフランスなんかが修正をかけた、こういう事実もありますね。
 私は、こういった正面から侵略や侵攻を認めないようなものに対しては、日本政府として是としないというような明確なことをおっしゃるべきだと思いますが、いかがですか、総理。

○河邉政府参考人 お答え申し上げます。
 国連総会でも、フランスの修正が施されたアメリカの提案の決議につきまして、日本国政府は賛成の投票を投じてございます。ここにおきましても、ロシアによるウクライナへの全面侵攻による悲劇的な人命の損失を哀悼する、そういうふうに明確に書いてございます。そういった立場で私どもは対応しているということでございます。

○本庄委員 四年間の長いトランプ政権、まだ始まったばかりで、総理も大変な中での総理だということは私も拝察はいたします。ただ、他方で、いつまでも続く政権でもないわけです、任期がありますから。
 私は、アメリカやトランプ大統領と蜜月関係を築くことは大事だと思うし、そのためにはいろいろなものも犠牲にしなきゃいけないかもしれないし、捨てなきゃいけないものもあるかもしれないけれども、何でもかんでも捨て去ってしまう、忖度をする、追随をする、そういうことがあってはいけないというふうに思うんですね。日本の基本的価値、あるいは国益の根幹、そして国際社会における地位や名誉、そういったものをしっかりと守りながら、アメリカ、トランプのアメリカとつき合っていくということだと思うんですね。
 是非、その点、私は今回のウクライナ和平に関わる総理の言動を見ていて一抹の不安を覚えているものですから、あえて申し上げさせていただきました。
 時間もありますので、次の話に行きたいと思います。
 自民党、公明党、維新の会三党合意に関連してお伺いしていきたいと思います。
 まず、昨晩、自民、公明、日本維新の会の三党が高校授業料無償化、学校給食無償化などで合意をした。旧民主党政権の高校授業料無償化から推進してきた我々も、教育無償化や、あるいは今国会でも法案として提出をしている学校給食の無償化、こういったものが、あれだけ反対をされてきた自民党の賛同も得て実現しようとしているということには、非常に感慨を覚えています。
 総理にまず基本的な認識でお伺いをしたいと思うんですが、今回は教育、社会保障というテーマになっていますが、高齢化に伴う社会保障費の自然増、これは来年度予算だけでも六千五百億円ですね。あるいは少子化対策、これは五年間で三・六兆円。さらにその先、子供予算倍増という話もある。そして、今出ている教育の無償化、これも一兆、二兆単位の必要予算です。
 教育や社会保障以外にも、防衛、国土強靱化、あるいは国債の利払い費などなど、歳出増メニューがメジロ押しというのが今の現状だと思うんですね。だからこそ、賢い支出、あるいは財源の確保というのがますます重要になっている。まさに財源なくして政策なしだというふうに思うんですね。
 総理、この認識について同意していただけますか。

○石破内閣総理大臣 財源なくして政策なしという言葉が適当かどうかは別といたしまして、やはりそういうような、政策を考えるときには常に財源を伴うのだということは、我が党として長い歴史の中で、田中角栄総理の列島改造論であり、あるいは竹下総理の福祉と消費税のセットであり、いろいろな御議論があることは承知をいたしておりますが、我が党として、政策を出すときには常に財源を伴ってきた提案というものをしてきたものでございます。
 あわせまして、次の時代に先送りをするということは我が党として極力避けるべきだと思っておりまして、それは教育の無償化についても同じことが言えると考えております。

○本庄委員 それでは伺いたいんですが、今回の自公維三党の合意文書の中で、二〇二五年度、二六年度、あるいはそれ以降と、それぞれ政策が書かれておりますが、この所要額は幾らを見込んでおられるんでしょうか。所要額、今回の三党合意に係るお金です、予算。御答弁ください。

○石破内閣総理大臣 昨日の三党の合意内容の中で、いわゆる高校無償化において、先行措置として、令和七年度分について、全世帯を対象とする支援金、十一・八八万ということでございますが、収入要件を事実上撤廃するということにいたしております。
 現時点におきまして、令和七年度の所要額を機械的に試算をいたしました場合に、約一千億円、これが追加的に必要になる、このように見込んでおるところでございます。
 なお、令和八年度以降につきましては、無償化に関します様々な論点を整理いたしました上で、安定した恒久財源の確保と併せ、具体的な制度設計を行い、積み上げを行っていく、こういう必要がございますので、現時点で所要額はお答えいたしかねます。

○本庄委員 まあシャビーだと思いますが、一千億なんですね。残りは今後検討ということですが、では、その一千億の財源はどこから捻出されるんでしょうか。(発言する者あり)

○安住委員長 では、ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 では、速記を起こして。
 石破内閣総理大臣。

○石破内閣総理大臣 これは、三党合意におきましては、この実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより……(発言する者あり)当然のことです。ええっではありません。徹底した行財政改革を行うことにより、安定財源を確保するということでございます。
 八年度以降の安定財源につきましては、様々な論点と併せて検討する必要がございますが、一時的な基金の返納ではなく、次の時代に負担を先送りせず、歳出歳入の両面の措置によって確保いたしてまいります。
 七年度予算につきましては、ほかの党、これはもちろん御党を含むわけでございますが、今回の合意内容も踏まえて、歳出歳入の修正については相談をさせていただきたいと考えております。

○本庄委員 私の理解が正しければ、一千億は徹底した行財政改革で捻出というふうに聞こえましたが、さっき御答弁もされましたように、政策と財源を常にセットで我々は示してきたとおっしゃるんですが、非常に曖昧な財源だと私は思うんですね。
 行財政改革で一千億を出すんですね、七年度中に。それは、本来であれば、社会保障費の歳出改革であれば少子化に充てるとなっていますよね。それから、非社会保障費であれば防衛費に充てるとなっていますね。その徹底した行財政改革が、防衛でもなく社会保障でもなく、今回の学校の所得制限撤廃、そこに回る余地というのはあるんですか。明確にしてください。

○石破内閣総理大臣 現在、それは与党において鋭意作業中でございます。ここにおいて、私自身がこれとこれとこれ、これが歳出の改革である、よって一千億ということは、現在申し上げるだけの立場にはございません。
 ただ、私どもといたしまして、いかにしてこの一千億を捻出するかということにつきましては、歳出のいろいろな項目を徹底的に精査をしながら、どこかに余地はないかということ、そして、それを仮に削るとして生ずるいろいろな影響というものをいかにして最小限にとどめるかということで、鋭意今検討を進めておるところでございます。

○本庄委員 我々はもう一月前から提案していますよ、本気の歳出改革。予備費で五千億、基金の活用で、例えば防衛で八百、コロナワクチンで千、グローバル・スタートアップ・キャンパスで六百等々、三・八兆円の財源をお示ししていますよ。この全部は駄目だとおっしゃるとしても、一千億、七年度、皆さんが昨日三党で合意された分ぐらい、幾らでも出てきますよ。
 こういったものをおざなりにして、曖昧な内容で、とにかく目の前の予算を通したい一心で、私は、中途半端な三党合意を結ばれたのではないか。これは、一千億もこれから必死で出すということですが、その先にある本格的な高校無償化や給食費の無償化、さらには医療費の削減もするんでしょう。膨大な財源が要りますよ。
 私は、さっきの、財政が大事だとか、裏づけをちゃんとつけてきたという答弁と矛盾していると思いますね。恥ずかしくないですか、総理。いかがですか。

○石破内閣総理大臣 全然矛盾もいたしません。矛盾をいたしませんから、そういうことに対して、委員のお言葉をかりれば恥ずかしいとか、そういうことは申し上げるつもりはございません。
 政府といたしまして、これは、与党あるいは三党で相談をしながら、どういう形でそれができるかということはきちんとお示しをして、御判断を仰ぎたいと思っております。
 私どもは、来年度さえよければいいなんぞということを考えておるわけではございません。これから先もどうやってこれが安定的に運営していけるかということを考えていかねばなりませんので、今度の予算さえよければいいというようなことはつゆほども考えたことはございません。

○本庄委員 令和八年度以降のものは、私も百歩譲って、骨太でというのは理解します。ただ、今出ているこの予算の修正財源の一千億が、明確に財源が示されていないんですよ。採決できないじゃないですか、こんな状態で。
 総理、もう一回お願いします。

○石破内閣総理大臣 ですから、今三党で、そういうものがどこにあるか。もちろん、方向性というのは決まっています。こんなものがそんなに簡単に出るはずはない。先ほど来申し上げておりますように、それを削減して、なおかつ、次の時代に負担を送らず、それを削減することによって生ずる影響を最小限にとどめるということで、今、本当に最大限の努力をして、協議を詰めておるところでございます。
 必ずそういうものをセットにしてお諮りをしなければ予算というものは成り立ちませんので、そもそも仕組みとして、そんないいかげんなことはできません。

○本庄委員 私は全く考えが違いますね。少なくとも、七年度予算に関する歳出については今回の三党合意の中できちっと決めるべきだったと思いますよ。
 間もなく衆議院の採決がどこかであるでしょう。総理、少なくともそれまでには明確に一千億の財源を示してください。いかがですか。

○石破内閣総理大臣 それなくして採決を仰ぐことにはなりません。当たり前のことです。

○本庄委員 では、お待ちしておりますので、よろしくお願いします。
 我々は出していますので、このどれかを採用していただければ、直ちに一千億確保できると思います。
 それから……
(発言する者あり)それだったら、与党でちゃんとやってくださいよ、野党にやらせないで。役所も。それで我々が仕事をしているんですから。よろしくお願いします。
 合意文書の中で、もう一つ教えていただきたいんですが、念頭に置くという言葉が出てきて、ちょっと私は戸惑っているんですけれども、政府・与党として、歳出改革等によって実質的な社会保険負担軽減の効果を一・〇兆円程度生じさせる、これを政府・与党として念頭に置く。維新の会として、国民医療費の総額を年間で最低四兆円削減することによって、現役世代一人当たりの社会保険料負担を年間六万円引き下げる、これも念頭に置く。
 念頭に置くというのはどういう意味なんですか。これは、文字どおり頭に置いておくよということなんでしょうか。それとも、実行するということなんでしょうか。いかがでしょうか。

○石破内閣総理大臣 それは、文字どおり頭に置くということであって、念頭に置くということは、辞書を引いて全く違う意味が出ておるものではございません。
 それは、そういうような考え方、つまり、我が党は我が党、公明党さんは公明党さん、維新の会は維新の会さん、それぞれの考え方がございます。それぞれが何を言っているかということを頭に置いた上でこれから先の政策というのは考えていかねばならない。維新の会がこのように言っておられるということ、それは常に議論の際に、我々自民党としても公明党としても、維新の会がこう言っておられたねということを決して忘れることなく議論を進めていかねばならない。文字どおり念頭に置くということでございます。それが合意を見ておれば、念頭に置くなんぞという表現はいたしません。
 それぞれの党がこういうような考え方であるということをいかにして呻吟しながら結論を出していくかということは、これからの作業でございます。

○本庄委員 文字どおり念頭に置く、頭に置いておく、こういうことを言っているよということを忘れないようにするということですね。
 ということは、必ずしもやるとは限らないということですね。やるんだと、実行するものが書いてあるということではなくて、お互いの主張を書いてあるだけだということですね。明確にしてください。

○石破内閣総理大臣 言葉の遊びをするつもりは全くないのですが、例えば、三党合意では、現役世代の増加する保険料負担を含む国民負担を軽減するための具体策について、令和七年末までの予算編成過程で、これは診療報酬改定も含むわけでございますが、論点の十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて、令和八年度から実行に移すということに三党合意ではなっておるわけでございます。
 それぞれの党の主張を完全に取り入れるということになるかどうかは分かりません。それが完全にできるかどうかというのはこれからの協議でございます。
 しかしながら、単に言っているだけだよね、それを念頭に置くけれども、実行できないけれどもごめんねというようなことで三党合意は成り立っておるものだとは私は思っておりません。

○本庄委員 それでは、配付資料の一で総理の答弁をちょっと振り返りたいんです。
 国民負担の軽減に関する答弁ということで、前原委員の質問に答えたものですが、OTC類似薬について、OTC医薬品との負担のバランスの観点から保険給付の在り方を見直す。お医者さんへ行って湿布とかをもらう、あれを保険から外すということですね。それから、能力に応じた負担。年齢とかではなくてということです。それから、医療DX、デジタル化を通じた効率的で質の高い医療の実現。この三つを挙げて、そして国民負担を軽減する、こういうふうにおっしゃっています。
 さて、この三党合意を見ますと、政府・与党は社会保険負担一兆円で、維新の会は四兆円の医療費の削減ということで、若干違いはありますけれども、医療費を四兆円削減するためには、社会保険負担一兆円はまず多分実現しないといけないということだと思います。
 この三つで国民負担の一兆円の減、あるいは維新が言うところの四兆というのを実現できる、するんだということでこれをおっしゃっているんでしょうか。

○福岡国務大臣 具体策につきましては、今例示されましたように、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、また応能負担の徹底、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、医療、介護産業の成長産業化を含めというふうに書いてありますので、それも含めた上で検討をされるということになっていまして、そこの内容については、今後まさに三党の協議体において検討が深められるものと承知しております。

○本庄委員 含めということは、これだけではないということですね。
 では、それでもう一問確認しますけれども、医療費あるいは社会保険料の負担を軽減するためには、合理化や効率化、これがまず第一ですね。これは国民や患者にも負担のないものだと思いますので、進めるべきだと思います。
 でも一方で、更に進めていこうとすれば、例えば医療でいえば給付水準の切下げ、あるいは公費、つまり税金投入を増やす、さらには今回の高額療養費制度のように患者負担を引き上げる、こういったこともやっていかないと、一兆や四兆という社会保険負担の軽減、医療費の軽減というのは到底できないと私は思うんですが、そういったことも念頭に置いて今回の三党合意というのは結ばれているんでしょうか。総理、いかがですか。

○石破内閣総理大臣 それは、理屈の上からはそういうことは起こり得ることでございますが、高額療養費にいたしましても、それに伴う負担増というものをいかに最小限にとどめるかということには最大限の配意をいたしておるところでございます。
 今回大事なのは、いかにして応能負担というものをもっとその機能を発揮させるかということは重要なことだと思っております。もう一つは、医療DXを通じまして、どのようにして効率的、そして効果的な医療というものを実現するかということでございまして、私はその部分で、デンマークの医療改革なんかを見ておってもそうなのですけれども、DX化によって相当部分、質を落とさずに医療の高度化、効率化という言葉は気をつけて使わなければいけませんが、そこには相当の余地があるというふうに考えております。
 ここを徹底的に、厚生労働省として、あるいは政府全体として追求をしてまいり、なるべくなるべく国民の皆様方の御負担を少ない形で実現をしたいと思っております。

○本庄委員 総理、ちょっと答えていただいていないんですが、今総理がおっしゃったのは、この中の話なんですね。これで対応できない部分は給付水準の切下げだとか患者負担の引上げで対応せざるを得ない、そういうことも念頭に置いた社会保障改革ということをおっしゃっているんですねということを確認しているんです。

○石破内閣総理大臣 決め打ちはいたしませんが、そういうことは当然起こり得るものだと思っております。しかしながら、それによって国民の皆様方、患者の皆様方にいかにして負担が少ないようにするかということも併せて考えておるものでございます。
 高額療養費にしてもそうでございますが、ある程度の御負担、それは物価増というものに比例するものでございますけれども、それはお願いせざるを得ない。しかしながら、それによって受診抑制がなされたりということは本当に最小限にとどめていかねばならないということはよく承知をいたしております。

○本庄委員 本当に最小限であれば、今回の高額療養費制度の拙速な見直し、そして、これほど大きな問題になるということには私はなっていないと思うんですね。私は、考え方、やり方を改めていただかないと、この先の社会保障改革はおぼつかないというふうに思います。
 最後に、財源の話。先ほども出ましたので、ちょっと予備費の話は飛ばします。
 資料の三を御覧いただきたいと思います。
 問題の基金、我々も一生懸命探しましたが、実はそう難しくなくて、ごろごろ転がっているんですね、問題基金。問題三基金、基金三兄弟とでもいいましょうか、グローバル・スタートアップ・キャンパス基金、国会でも取り上げてまいりました。それから宇宙戦略基金、防衛装備移転円滑化基金。
 このグローバル・スタートアップに関して言いますと、これは恵比寿駅から徒歩七分、東京ドーム半分以上の広大な都心の超一等地、財務省の台帳の価格では百七十六億円、売れば二百を超えるんでしょう。こういったところにフラッグシップ拠点を造って、世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを構築する。ちょっと読まないとしゃべれないぐらい、何を言っているかよく分からない構想ですが。
 これは慌てて補正予算で基金を積みましたけれども、二〇二三年度の残が六百三十六億、そして今年度の支出、一・三億ですよ、五十億予定していたけれども。現在六百三十五億残っております。来年度末見込みも五百七十六億の残です。
 これ一個を見たって、二百億出せるんですよ、総理。どうですか、これを財源として活用しませんか。総理、いかがですか。

○藤吉政府参考人 お答えいたします。
 このグローバル・スタートアップ・キャンパス基金でございますけれども、いずれできます運営法人の設立ですとか、施設の開所に先立ちまして、世界から優れた人材、投資を集める呼び水となる最先端のディープテック領域の研究活動を実施するために計上している予算でございます。世界で直面する様々な課題の解決に向けては、新たなディープテック領域を選定して革新的な国際共同研究を実施することは、世界中の優秀な研究者を引きつけて、また、企業関係者、海外ベンチャーキャピタリスト等の関心を喚起するために不可欠となるものと考えてございます。
 現在、この取組の実施方針に関しまして、国内外の関係機関との協議、調整ですとか具体のスキームの検討を行っておりまして、本年度中に方針を策定して、速やかに基金の執行を開始していきたいと考えてございます。
 以上です。

○本庄委員 不可欠といって、何で三年もたっているんですか。そして、今国会に法案が出てくるはずだったのに、出てきていないじゃないですか。もう三年ですよ、基金のルールも間もなく適用されるでしょう。ただ、私は、来年度の予算編成においてこの基金を活用すべきだと思います。
 宇宙も、補正予算で二年連続三千億ずつつけました。総理とも大分議論させていただきましたよ。今年度、残り五千七百億ですよ。募集して、事業は決まりつつありますけれども、実際のお金は出ていかないんですね。そして、来年度も五千億キープですよ。
 我々は、ここから二千億使おう、それでも三千億残る、こういう提案をしています。総理、いかがですか。

○安住委員長 間もなく時間が来ますから、答弁は簡潔に、よろしくお願いします。

○石破内閣総理大臣 基金の在り方については、私どもも不断に見直してまいりたいと思っております。
 宇宙にしても防衛にしてもそうなのですが、一時期に集中していろいろなニーズが生まれてくるということはございます。それは委員も御存じのとおりであります。そのときに、基金を積んでいませんでしたでは済みません。
 私どもとして、基金の在り方は常に不断の見直しが必要だと思っておりまして、それは、基金ルールの見直しということも含めまして、必要であれば国庫への返納というものも考えていかねばならないと思っております。
 ただ、今回、宇宙にいたしましても、あるいは防衛にいたしましても、それは必要性があるということで積ませていただきました。特に防衛につきましては、オーストラリアのフリゲートの受注というものがまさしく今重要な時期に差しかかっておりますので、そのときに、基金がございませんでした、ごめんなさいということで国益を損なってはならないと考えております。

○安住委員長 時間が参りましたので、終了してください。

○本庄委員 財政に責任を持っているのは立憲民主党だということを申し上げて、質問を終わります。