
4/2 内閣委員会(能動的サイバー防御法案)
質問要旨
- 総論(通信の秘密、必要最小限度、武力行使との関係)
- 基本方針の「基本的事項」
- サイバー通信情報監理委員会
- 官民協議会
- 警察によるアクセス・無害化措置
- 自衛隊による通信防護措置
- 立憲民主党の修正案
- 新たな司令塔組織
- その他
要求大臣 平国務大臣
政府参考人 内閣官房・内閣府、警察庁、防衛省、法務省
配付資料 あり
パネル なし
議事録
○大岡委員長 次に、本庄知史君。
○本庄さとし 立憲民主党の本庄知史です。よろしくお願いいたします。
持ち時間の範囲で質問させていただきます。
ちょっと午前中から外務大臣の協議についてかなり議論がありました。私は、通告していたんですが、議論が尽きたので、もういいかなと思って一旦取り下げましたが、ちょっと法律上の根本的な問題なので確認したいんです。できれば大臣に、無理なら政府参考人に答えてほしいんですが。
外務大臣が協議を受けたときに、国際法の観点で意見をする、あるいは同意をする、こうなっているんだ、こういう答弁です。これはどこに根拠があるんでしょうか。法文上、協議するとしか書かれていなくて、何を協議するのか、どういう基準で大臣が判断するのか、これはどこにも明文はないんじゃないのかなと思うんですが、教えていただきたいと思います。
○政府参考人 お答えを申し上げます。
個別にその協議の内容については規定をしてございませんけれども、先ほど来御説明しているとおり、国際法上の適法性の担保のためのその協議というふうな理解をしてございます。
○本庄さとし 今は理解とおっしゃいましたが、先ほどから、そういうふうになっているんだというふうに、規定されているかのような言い方をされているので、私は大分混乱していると思っているんですね。あくまでも今法案を出している政府の方針、運用にすぎないということなんですね。
したがって、これは場合によっては変わり得る、可能性としては、根拠はないわけですからということでよろしいですね。
○政府参考人 お答えいたします。
提出している立案者側の意思ということでありますので、時間の経過によって解釈が変わることはございません。
○本庄さとし ですから、平岡さんなんかは、それは法律に書くべきだというふうにおっしゃっているわけだし、書く場所はいろいろあるでしょう。それはどこか基本方針に書く、対処方針に書くというやり方もあると思いますが、何らか明定しないと、これはあくまでも今の政府の運用方針にすぎないということになってしまいますので、私は、このピン留めの仕方、もうちょっと政府も考えた方がいいんじゃないかというふうに思いますので、そのことを最初にまず申し上げたいと思います。
その上で、まず、総論ということで通告をしましたが、憲法との関係の幾つかの論点です。
まず、通信の秘密ですが、これは最も基本的な、そして重要な論点だと思いますけれども、平大臣は先週、我が党の山委員との質疑の中で、通信の秘密を不当に侵害しないということを法文に書くべきではないかという、そういった問題意識に対して、このような答弁でした。憲法第二十一条に規定する通信の秘密については、憲法上規定されている権利であることから、条文上明記せずとも、当然のこととして、本法律案により通信の秘密が不当に侵害されることを許容されるものではない、本法律案においては、通信の秘密との関係に十分配慮して、様々な措置を講ずることとしている、通信の秘密を不当に侵害することなくという条文を明記せずとも、本法律案に規定した措置が適正に実施され又は遵守されることでその趣旨は確保されるため、条文上これを明記する必要がない、こういうことで、法律上、制度上、通信の秘密を不当に侵害することができないようになっているんだから法律には書かなくていい、こういう御説明でした。
逆に伺いたいんですが、これは明記すると何か支障はありますか。
○平国務大臣 答弁を用意してありますけれども、今、全部おっしゃったので。政府としては、答弁したとおりでありますので、あえて通信の秘密についての文言をこの法律に書く必要はないというふうに思っております。
一方で、じゃ、書いたら何が変わるのかというお尋ねだと思いますが、法的効果は何も変わらないんだろうというふうに思っています。足らないところは参考人から。
○大岡委員長 参考人から補足、ありますか。小柳審議官。
○政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、通信の秘密につきましては、憲法上規定されている権利でありますことから、本法律案の条文でこれを明記していなくても、あるいは、明記したとしても、これを適切に保護する必要がございまして、いずれにせよ、通信の秘密への配慮をおろそかにしてよいというものではないというふうに考えてございます。
○本庄さとし 配付資料一を御覧いただきたいんですが、通信傍受法、特定秘密保護法、重要経済安保情報保護活用法ということで抜粋を載せてあります。
通信傍受法には、第一条「目的」の中に、「通信の秘密を不当に侵害することなく」というふうに書かれています。これは政府参考人、法務省に伺いますが、この文言がなければ、通信の秘密が侵害されたり、違憲立法となるということなのでしょうか。
○政府参考人 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律第一条は同法の目的について規定したものでございますが、仮に同条がなければ、同法が憲法の保障する通信の秘密を不当に侵害する、憲法違反の法律になるというものではないと考えております。
○本庄さとし それでは、なぜ、あえて「通信の秘密を不当に侵害することなく」、こういった文言を第一条に入れたのでしょうか。
○政府参考人 通信傍受法の第一条の意味については先ほど申し上げたとおりでございますが、通信傍受は憲法の保障する通信の秘密を制約するものであるということに鑑みて、先ほど御指摘があったような文言が入っているものと承知しております。
○本庄さとし この文言や、あるいはこの一条がなくても、通信の秘密を不当に侵害をしたり、違憲立法になったりするということはないんだけれども、法律そのものがそういった可能性を帯びた法律であるがゆえに、あえてこういった規定を入れている、こういうお話だと私は解釈いたしました。
特定秘密保護法、そして重要経済安保情報保護活用法にも、「国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、」と、これもわざわざ書いてあるんですね。これも同じような趣旨だと理解してよろしいですか。内閣官房、お答えください。
○政府参考人 特定秘密保護法におきましては、秘密の指定や解除、適性評価の実施、罰則等につきまして、適正運用を確保するための必要な制度設計は行っておりますものの、個々の特定秘密そのものを条文に規定することは不可能であり、罰則についても、漏えいの教唆罪等は、一定の要件を満たせば行政機関の職員や適合事業者の従業者以外の者も処罰対象になります。
さらに、適正評価制度が他に例のない制度として新たに導入されたということもございまして、先行法令に倣いまして、御指摘のような、法の拡張解釈の禁止それから国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならない旨の規定を置いたものでございます。
○本庄さとし 大臣、聞かれたと思うんですが、通信傍受法や特定秘密保護法などは、同じように国民の基本的人権、通信の秘密などを侵害しかねない法律ではあるけれども、法律上きちっとそれができないように担保はされているが、しかし、あえてこういった、通信の秘密や国民の基本的人権という文言を法律の中に入れ込んだ、こういう今御説明でした。
なぜ今回の法案ではそういう措置を取らないんですか、あるいは取れないんですか。
○平国務大臣 まず、本法律においては、目的も明確化し、先ほど、冒頭御説明いただきましたけれども、具体的な手続なども明確にしているということもあり、憲法にも保障されている中で、あえて書く必要もないだろうということであります。
他の法律の例については、ちょっと法目的が異なるため単純に比較することは難しいと考えておりますが、この法律については、政府としては今申し上げた認識でおります。
○本庄さとし まさに認識、基本姿勢の問題だと思いますね、法律論というよりも。
かつての通信傍受法や特定秘密保護法が、やはり、様々な懸念を受ける中で、真摯にこういった文言を法律の中に私は入れたんだろうと思います。今の政府、平大臣にも、一〇〇%大丈夫な法律だとおっしゃりたいのは分かるんですが、様々な懸念や心配もあり、そして、政府としての基本的な姿勢を法律の中で見せるという意味でも、私は、通信の秘密を不当に侵害しないなど、きちっとした文言をやはり入れた方がいい、そういう修正をした方がいいと私たちは考えておりますが、この考えについて、大臣、どのように受け止められますか。
○平国務大臣 他の法律の法目的が異なるので単純に比較することは難しいと申し上げましたが、通信傍受は、まさに犯罪捜査目的で、令状は取るとはいえ、コミュニケーションの中身を聞くという重大な通信の秘密に抵触することでありますし、特定秘密も、まさに何を特定秘密にするのかといったところをやはりこれはしっかり見なければいけないだろうということで、こういった文言が入っているんだろうというふうに思います。
我々は、かなり今回、目的も明確化をし、機械選別、自動選別をして、機械的情報のみを分析をし、また、三条委員会もつくり、三条委員会のガバナンスも利かせるということで、全体としてしっかりとその辺の守りを固めた法律になっていると思いますので、あえて通信の秘密をここで入れる必要はないというのが政府の立場であります。
○本庄さとし 私は、そういった政府の万能感に満ちた対応というのが、むしろ国民の不安を駆り立てていると思いますよ。大丈夫だとか完全だという政府や行政の説明ほど疑わしいなと思うのが私は人間の心理だと思いますし、やはり、人間は間違いも犯せば、制度には欠陥もあるわけですね。今出しているものを百点だと思って出されていることは理解しますが、私は、もうちょっと謙虚な姿勢で国会に法案を出されるべきだというふうに思います。
その上で、もう一つ重要な論点、必要最小限度です。
これは、二つの意味で必要最小限度という言葉が出てきますが、一つは、通信の秘密という、人権侵害、権利の制約、これに対して必要最小限度。そしてもう一つは、アクセス・無害化措置という、武力行使ではないものの、こういった措置が必要最小限度なのか、この二つの意味で使われているんですが、そこはちょっと混乱のないように議論した方がいいというふうには思いますけれども。
このサイバーにおける必要最小限度とは何かということでちょっとお伺いしたいんですが、これは多分防衛省の答弁になると思いますが、まず、武力行使の一環としていわゆるサイバー攻撃という手段を用いることは否定されないということをかつて小野寺大臣が国会答弁をしています。先ほどから、一概には言えないというような答弁もありますけれども、しかし私は、例示というのはできると思うんですね。武力行使の一環としてのサイバー攻撃とは、例えばどういうものなんでしょうか。防衛省、答弁してください。
○政府参考人 お答えいたします。
武力攻撃事態において防衛出動命令が発せられ、防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するために必要な武力の行使を行うことができるようになり、我が国に対するサイバー攻撃への対処は基本的に武力の行使の一環として行うこととなるというふうに考えております。(本庄委員「例示、具体的に、例えばどういうことをやるんですか」と呼ぶ)
○大岡委員長 もう一度、詰めていただいてよろしいですか。議事録に残りますので。
○本庄さとし 私は例示を求めたんですね。今おっしゃったような位置づけで行使される自衛権の行使や武力の行使、これはサイバー攻撃、サイバー防御という側面からいうと、具体的に、例えばどういったことが考えられるんでしょうか。
○政府参考人 お答えいたします。
例えば、重要電子計算機に対する攻撃を防護すること、それから、また別の形としましては、その物理力を行使してサイバー攻撃の源をたたくということもございます。
○本庄さとし 今の前者の話はアクセス・無害化措置と同じ説明になっていますね。武力行使に至らないアクセス・無害化措置と武力行使であるサイバー防御、これはどこがどう違って、どういう基準で分けることになるんでしょうか。
○政府参考人 お答えいたします。
防衛出動下令下におきまして、大きく分けて二つ役割があると思っております。一つが武力の行使でございまして、もう一つが公共の秩序の維持でございます。この公共の秩序の維持につきましては、今般の法案と同様な措置を行うものというふうに考えております。他方で、武力の行使につきましては、それを超える実力の行使ができる、物理力の行使も可能であるというものでございます。
○本庄さとし そうではなくて、サイバー攻撃を受けた場合に、我々がそれを阻止したりするために、あえてサイバー防御という言葉を使いますが、この法律でいえばアクセス・無害化措置、そして自衛隊法に基づけば防衛出動や武力の行使ということになるわけで、いずれもサイバー空間での行使ということになりますが、片や警察権、片や武力の行使であって、決定的に違うわけで、その境目ははっきりしていないと、どっちの法律で自衛隊が動くのかということも決められないわけですね。だから私は、例示を挙げてくださいと。イメージが湧かないんですね、この二者の違いが。だから繰り返し聞いているんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人 お答えいたします。
境目という御指摘でございますけれども、まさに武力の行使として行われたものに対しては、我々も防衛出動に下令して、武力の行使として対応するということでございまして、具体的にどういった措置が我々に対しての攻撃なのかというのは、一概にはお答えできないものと考えております。
○本庄さとし 武力の行使に対して武力の行使をするのはいいんですけれども、こちら側が行使する武力というのはサイバーにおいてはどういった形態あるいはやり方などになるのか、それを例示で言ってくれと言っているんですよ。
アクセス・無害化は、サーバーの機能を止めたり、悪さするウイルスを動かなくしたりということだという説明になっていますが、武力の行使としてのサイバー防御というのは、例えばどういうことをやるんですかと聞いているんです。
○政府参考人 お答えいたします。
一つの具体的な例としましては、相手のサイバー空間の利用を妨げるような活動ということが挙げられるというふうに思っております。
○本庄さとし 最初の答えに戻ってしまったんですが、それだと、今のアクセス・無害化措置と何が違うのか、全く分かりませんね。なぜ武力の行使までできるのか、どこが違うのか。
これは、もうちょっと政府できちっと詰めたものをこの委員会に出してもらいたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いします。
○大岡委員長 では、この件につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。
○本庄さとし その上で、武力の行使は必要最小限度ということが長年の憲法解釈、そして、法律でも武力行使については明記されていると思います。
今回のアクセス・無害化措置も、これも必要最小限度ということなんですが、警察権としてのアクセス・無害化措置の必要最小限度と、実力行使、武力行使としての必要最小限度は、おのずと判断基準も範囲も変わってくると思いますが、この点はどのような整理になっているんでしょうか。
○政府参考人 お答えいたします。
まず、武力の行使の三要件における必要最小限の実力行使は、憲法上の武力行使の要件である三要件の第一要件及び第二要件を満たした場合における実際の実力行使の手段、態様及び程度の要件でございます。
その上で、ここで言う必要最小限度とは、我が国を防衛するための必要最小限度ということであり、必要最小限度の実力行使の具体的限度は、その前提となる武力攻撃の規模、態様等によるものであり、一概に述べることは困難でございます。
一方で、武力攻撃事態に至らない状況下で通信防護措置を下令された自衛隊は、自衛隊法九十一条の三において準用する警察官職務執行法第六条の二に基づき措置を講じますが、その措置は、あくまで重要電子計算機に対する危害を防ぐための、ネットワークを介して行う必要最小限度の措置として実施するものです。当該措置における必要最小限度の措置についても、具体的な程度については個別具体的な状況に応じて異なることから、一概に述べることは困難でございます。
○本庄さとし 一概に、一概にという言葉がお好きなんですが、過去の国会答弁でも、例えば武力の行使であれば、攻撃してくる外国の戦力を駆逐をする、そして我が国に対する脅威や独立に対する侵害といったものが取り除かれるというようなことが必要最小限だ、こういった答弁もかつてあるんですね。だから、一概だと言えないという言葉だけで何も答えないというのは、私はいかがなものかと思うんですよ。
もう一回聞きますけれども、サイバーにおける最小限度というのはどういうことなんですか。それは、武力の行使としてのサイバー防御と、そして武力の行使に至らないサイバー防御と二つあると思いますが、それぞれ、もうちょっときちっと答えてもらわないと困ります。いかがですか。
○大岡委員長 家護谷審議官、具体的に分かりやすく答えてください。
○政府参考人 お答えいたします。
武力の行使に至らない段階で行えるものとしましては、必要最小限度というのは、ネットワークを壊さない、システムを壊さない程度のものであるというふうに考えております。
他方で、武力の行使として行うものにつきましては、そのシステムが破壊されることまで許容されるものだというふうに考えてございます。
○本庄さとし はい、分かりました。今回はそこまではやりません、こういう御説明ですね。
じゃ、もう一つの必要最小限度ですね、これは通信の秘密の侵害に対する必要最小限度ですが、これは平大臣に伺いますけれども、内内通信に関連してなんですけれども、山委員との質疑の中で、こういった答弁がありました。分析対象の制限については、現時点で必要な措置に対して通信情報の利用を必要最小限の範囲にとどめるために限定している、内内通信というのは、基本的に、日本国民、日本国内の通信になるので、通信の秘密に対する制約という度合い、強度は、やはり、かなり強いものになるとの答弁ですね。
この趣旨は、内内通信を仮に対象とすると、今回の法律の枠組みを使ってもってしても、必要最小限の通信の秘密の制約というものを超えてしまって憲法違反の可能性となる、したがって今回は入れなかった、こういう御趣旨の答弁なんでしょうか。
○平国務大臣 まず、立法事実として、サイバー攻撃関連通信の九九・四%は国外からですということもあり、今回、やはり外外通信にフォーカスを当てている。その次に外内、次に内外。内内は対象から外した。これは、諸外国も、国内の、要は自国民とか居住者に対する通信の秘密に対しては、それなりに配慮がされているものというふうに思っております。
また、これは通信の秘密と公共の福祉のバランスというものが重要なので、先ほどるる申し上げた、目的を特定をし、手続を特定をし、いわゆる三条委員会でしっかりとグリップをし、さらには国会報告もするという全体のエコシステムというか仕組みをつくった上で、ここまでやれば通信の秘密の制約と公共の福祉はバランスが取れるという考えの下、この法律ができています。
なので、内内通信については、立法事実から、その必要性を感じていないので、そもそも入っていない。
更に言うと、直ちに憲法に違反かどうかは、これは正直、その状況によるし、どういう仕組みをつくるかによって変わってくると思いますが、少なくとも、通信の秘密に対する制約の強度は強くなるというふうに思いますので、そこでどうバランスを取るのかということに関しては精緻な議論が必要だろうという意味で答弁をさせていただきました。
○本庄さとし ちょっと答弁が混在したので、もう一回確認しますけれども、私は、この内内を入れなかったのは、必要性の観点から入れなかったのかなと最初は思っていました。九十何%がそれ以外だからと。
ただ、この間の大臣の答弁は、そうではなくて、あるいはそれだけではなくて、やはり、憲法上の観点や通信の秘密とのバランス、整合性の観点もあり、内内を入れなかった、こういう趣旨だと私は理解したんですが、そこをもう一回確認したいんです。
○平国務大臣 前回の答弁で、内内をやるべきじゃないかとかなり強めに御質問をされたので、内内をやるんですかと、私は正直そう思いました。
分けて考えると、調査分析の対象として余り内内をやる意味はないというのは政府の基本認識であります。様々な資料にも前提条件として書かせていただきました。ただ、余りにも前提条件過ぎたので、答弁は、その場ではこれは言及はいたしませんでした。
その上で、通信の秘密に対する制約の強度が強いので、これはしっかりとした議論が必要ではないですかというお話をさせていただきました。
○本庄さとし 少なくともグレーだということですね。
有識者の提言にも、一定の条件を、法制局の長官の答弁もそうですけれども、公共の福祉との兼ね合いの中で通信の秘密は制約を受け得るということなので、おっしゃったようなバランスとか整合性ということを考えれば、それはやはり憲法論の話だと。大臣、あえて答弁されないんじゃないかと、今、思いますが。
となると、自動選別をしているから、機械的情報だから大丈夫なんだ、そういうクリアな問題では必ずしもないということになってくるわけですよ。同じ手法を取ったとしても、例えば対象を拡大すれば、憲法上議論があるという、その可能性はまだ残しているわけですよね、この法案は。だから、百点満点の枠組みや手法ではないというふうに私は思います。
そういう中で、最初の、通信の秘密の論点に戻りますが、この必要最小限ということについても、私は、法文上、それは訓示的だったとしても、やはり明示しておいた方が法律としていいのではないか、このように思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○平国務大臣 通信の秘密と公共の福祉の兼ね合いの中で、一般の皆さんが受ける印象は、何だ、通話を聞かれるのかとか、いわゆるSNSのトークルームを見られるのかという御懸念が、普通、直感的に思うわけでありますので、ここは、必要な機械的な情報、自動選別、機械的な情報しか取りませんというのは合理的だと思います。コミュニケーションの中身まで入るというのは通信の秘密に対して制約の度合いがかなり大きいので、これはそうだと。
外外通信、外内通信、内外通信、内内通信においても、これはやはりレイヤーがあるんだと思うんですね、この強度に対しては。それは我々は分けて考えていますということであります。
その上で、先ほど来申し上げているとおり、目的を限定をして、そして様々な手続を定めて、いわゆる三条委員会でしっかりガバナンスを利かせ、国会への報告もするということで今回の法律の体系ができておりますので、今の形で是非皆様には審議をしていただきたいと思っております。
○本庄さとし 私は平行線という言葉は好きじゃないんですけれども、我々としては、先ほどの通信の秘密を不当に侵害しないこと、そして制約については必要最小限にとどまるべきことということをしっかりと法案の中に書き込む、そういう提案をこれからしていきたいと思っておりますので、是非真摯に受け止めていただきたいというふうに思いますし、いい法律になればいい、そういう思いで私たちも申し上げておりますので、是非政府としても御検討をいただきたいと思います。
次に、基本方針、法案第三条について確認をしたいと思います。
実は一丁目一番地のような条文なんですが、恐らくまだ一回も議論されていないのではないかと思います。
第三条第二項に、内閣総理大臣は、重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止のための基本的な方針、第一号から第七号まで、それぞれの基本的事項を定める、閣議決定すると書いてあるんですね。皆さんお手元に法律をお持ちだと思いますけれども、例えば、当事者協定の締結に関する基本的な事項、通信情報の取扱いに関する基本的な事項、情報の整理、分析に関する基本的な事項、協議会に関する基本的な事項など、法律に書かれていないことについてこれから基本方針で決めるとなっていまして、ここも実はかなり重要なんですが、どういったことを基本的事項としてこれから基本方針に定めようと考えているのか、御説明をいただきたいと思います。
○平国務大臣 お答え申し上げます。
一号から七号までありますので、答弁がちょっと長くなりますけれども、御容赦いただきたいと思います。
本法案では、第三条第二項に基づき、基本方針において基本的な事項を定めることとしています。
まず、第一号においては、重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止に関する基本的な事項として、例えば、本法案における各種措置の背景や必要性、特定重要電子計算機の範囲に関する具体的な考え方等を規定することを想定をしています。
次に、第二号においては、第十三条に規定する当事者協定の締結に関する基本的な事項として、例えば、協定の締結に係る優先事項、関係行政機関との連携方法、当事者協定の具体的内容に係る留意事項等の事項を規定することを想定をしています。
次に、第三号においては、通信情報保有機関における通信情報の取扱いに関する基本的な事項として、例えば、通信情報を取り扱う者の責務、通信情報の取扱いの体制、本法案に基づき他の行政機関に通信情報を提供する場合の方法等の事項を規定することを想定しています。
次に、第四号において、第三十七条の規定による情報の整理及び分析に関する基本的な事項として、例えば、収集した情報の整理、分析に係る基本的な考え方、内閣総理大臣が情報の整理、分析を行うに当たり、関係行政機関に提供を求める情報の具体的な内容等を規定することを想定しています。
次に、第五号においては、総合整理分析情報の提供に関する基本的な事項として、例えば、民間事業者等に対する政府からの情報提供に当たっての内閣総理大臣、特別社会基盤事業所管大臣、電子計算機等供給事業所管大臣による連携の在り方等を規定することと想定をしています。
次に、第六号において、第四十五条第一項に規定する協議会の組織に関する基本的な事項として、例えば、協議会の基本的な運営方針や、協議会で共有されるべき情報の基本的な考え方等を規定することを想定をしています。
最後に、第七号において、重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止に関し必要な事項として、例えば、基本方針の見直しに関する事項等を規定することを想定しております。
○本庄さとし かなり今項目が出てまいりました。私はこれを詰めるだけでももう一週分ぐらい時間が要るんじゃないかと思いますが、あした以降、質疑でも詳細を詰めていただきたいと思いますけれども。
この決める基本方針、あるいはこれから決める政省令などは、例えばパブリックコメントとか、そういった形で国民の声を聞くというプロセスは考えておられるのか、今、方針があれば教えてください。
○政府参考人 政省令等の制定につきましては、行政手続法の規定に基づき、必要なものについてはパブリックコメントの募集手続をやってまいりたいと考えてございます。
基本方針につきましても、広く御意見を伺う立場から、パブリックコメントを実施するということは十分あり得るというふうに考えてございます。
○本庄さとし 是非、残りの充実審議とともに、パブリックコメントでしっかりと意見を集めていただきたいと思います。
時間があと五分ということですので、サイバー通信情報監理委員会について、実効性という観点から伺いたいと思います。
先ほども議論がありましたけれども、この委員会に提供される、あるいは取り扱う情報には重要経済安保情報も含まれ得る、こういうやり取りがありました。
確認しますが、特定秘密は含まれる可能性はあるんでしょうか。
○平国務大臣 サイバー通信情報監理委員会は、行政機関の一つであり、法令にのっとり、特定秘密や重要経済安保情報を取り扱うことは可能です。
その上で、例えば、アクセス・無害化措置を実施する機関から、承認の申請に当たり情報の提供を受けることにより、特定秘密や重要経済安保情報を取り扱う可能性もあるものと認識をしております。
○本庄さとし 特定秘密も重要経済安保情報も取り扱うということですね。
その上で、委員長は既に法律によってセキュリティークリアランスの対象外ということが確定しています、法令上。委員についてはこれから決めるということですが、政令に書けば対象外、外れるということですけれども、仮に政令に書かれない場合、これはクリアランスの対象になるという理解でよろしいですか。
○政府参考人 政令に規定されない場合であって、特定秘密等を取り扱うという者に該当すれば、クリアランスの手続が必要になる。それぞれの法律で定められているとおりでございます。
○本庄さとし 委員会が取り扱うわけですから、当然それは、政令で適用除外にするか、クリアランスを受けるか、二つに一つしかないと思います。
もう一点確認しておきますが、法令に基づいてクリアランスの適用除外になった人たちも、クリアランスホルダーと同等の情報にアクセスできる、それだけの権限、立場を有しているということでよろしいですか。
○政府参考人 それぞれの法律、政令で定めるところで規定をされれば、それぞれの法律で定めるところに従って、特定秘密あるいは重要経済安保情報を取り扱うことができるということになるというふうに理解をしてございます。
○本庄さとし もうちょっとかみ砕いて聞きますと、この委員会の五人の委員というのは、事務局の皆さんや、あるいは、この法律に基づいて活動する自衛隊や警察の集めた情報などにきちっとアクセスできるのか。それが、政令で適用除外にしようが、クリアランスを受けようが、いずれでも構いませんが、同じような立場できちっと情報に接することができるんですかということを確認したいんです。でないと、機能しないですよね、分からないということで。そこを聞いているんですが、いかがですか。
○政府参考人 お答えをいたします。
委員会は、通信情報の取得に当たっての承認、あるいは、アクセス・無害化に当たっての承認を行う機関でありますので、それを判断するに際して、承認を申請してきた機関からそういう秘密にわたる情報が提供されれば、当然それを扱うということになるということでございます。
○本庄さとし 提供されていない場合に、求めた場合はどうですか。それは、役所側は出すことになるんでしょうか。
○政府参考人 委員会の御判断ということになりますが、委員会が承認をするに当たって必要ということで求めるということは十分あり得ることでありまして、そうした場合に、実施機関等がそれを提出しないということになれば、委員会はその要件適合性を判断することが困難になりますので、場合によっては承認がなされないということもあり得るのではないかというふうに思います。
○本庄さとし 実効性を持たせるためには、やはり情報へのアクセスというのは非常に重要で、私も、国会で情報監視審査会にいて、いろいろ考えるところがあるものですから、あえてお聞きをしました。
時間もないので、最後に、ちょっと大臣に総括的に答えていただければと思いますが、委員会のいろいろな職務として、今の出てきた、措置に対する審査あるいは承認、このほかにも検査、勧告、実地調査、あるいは評価など、非常に多岐にわたる職務を持っています。これだけ見ると確かに強力な権限を持った委員会に見えますが、実効性という観点から、それぞれのいろいろな職務について、どういう担保があるのか、どのように実効性を持たせているのか、この点について分かりやすく説明をしていただきたいと思います。
○大岡委員長 最後、大臣、手短にお答えください。
○平国務大臣 委員会の委員長と委員は、独立してその職務を行うと規定されています、第四十九条です、任命に際して両院の同意が必要であり、これが第五十条第三項であります、破産、服役などの法定の場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない、五十二条、ため、十分な独立性が確保されていると考えています。
その上で、委員会は、審査や承認等の過程で通信情報保有機関における通信情報の取扱いがこの法律の規定に違反していると認めたときは、当該機関の長に対してその旨を通知するものとされ、通知を受けた当該機関は違反行為の是正や再発防止のために必要な措置を講じなければならないこと等とされており、必要な権限が整備をされています。 また、同委員会については、体制面からも、法律や情報通信技術に関して専門知識等を有する者を委員とするほか、事務を処理をさせるための事務局を置くこととしており、サイバー通信情報監理委員会の実施する事務の実効性が図られるよう配慮してまいります。
○本庄さとし ありがとうございました。終わります。