かわら版Vol.28「政府の危機管理と天下り問題」
3月、4月は統一地方選・衆参補選で私も走り回りましたが、国会は平常どおり連日の審議。内閣委員会と憲法審査会で計5回、質問に立ちました。
■岸田総理襲撃事件と政府の危機管理体制
補選の応援で和歌山県を訪れた岸田総理が襲撃され、谷国家公安委員長(警察所管大臣)は、視察先の高知県で一報を受けました。
現職総理が襲撃されるという重大事案です。視察を打ち切るという選択肢もあり得たはずですが、官房長官らと相談することもなく、谷大臣は視察を継続。その判断の是非を私は問いました。
谷大臣は「結果論かも分からないが、特段の支障はなかった」と答弁。危機管理の担当大臣が「結果論」という言葉を口にしたことに、私は唖然としました。
実は、安倍内閣以降、選挙の応援で、総理と官房長官が同時に東京を離れることが常態化しています。従来はどちらかが在京するというのがルールでした。不要不急の選挙応援で危機管理にいささかの影響もあってはなりません。政府の危機管理体制を早急に見直すべきです。
■天下り問題、国交省OBによる人事介入
国家公務員法は、現職による再就職のあっせんなど、国家公務員の天下りを規制しています。そうした中で、国土交通省の元事務次官が国交省と関係の深い民間企業に、別の国交省OBを社長にするよう求めていたことが明らかになりました。
国交省内で聞き取り調査が行われましたが、私は「調査の信頼性を高めるためにも、外部の第三者による検証が必要だ」と問いました。
松野官房長官は「国交省内で適切に対応してもらう」と極めて後ろ向きの答弁。そこで、公務員制度担当の河野太郎大臣にもただしました。
河野氏は5年前の文科省天下り問題の際、予算委員会で質問に立ち、「霞が関の問題を霞が関が調査しただけでは信頼は得られない。外部の目で調査しなかったら国民の信頼を得ることはできない」と発言。天下り規制についても、「役人OBによるあっせんが抜け道になっている。禁止する措置が必要」と厳しく指摘していました。
しかし、今回の河野大臣の答弁は、「国交省自身が調査をしたが特に問題はなさそうだ」、「OBは予算や権限がないので規制の対象外」など、過去のご自身の国会発言を否定するような答弁に終始。立場が変わればこうも変わるものでしょうか。
さらに私は、証券金融最大手の「日本証券金融」を例に、1950年から70年以上、日銀から17人、財務省から10人が切れ目なく社長や役員に就任していることを指摘。こういうケースを規制できなければ、「ザル法」と言われても仕方がありません。
立憲民主党は次官級経験者の退職後10年間の再就職先を調査するよう政府に求めています。こうした実態を踏まえ、国家公務員OBも天下り規制の対象とするなどの法改正を検討すべきです。
2023年5月1日