かわら版Vol.36「セキュリティークリアランス」
今国会の最重要法案の1つ、「経済安全保障セキュリティークリアランス法案」が4月9日、衆議院で可決されました。私も3回、計110 分、内閣委員会で高市大臣らと議論し、本会議での討論にも登壇しました。
■経済安全保障の重要性
厳しさを増す安全保障環境、激しい国際競争の中で、重要物資のサプライチェーン強化、重要インフラの安定供給、最先端技術の研究開発など、経済安全保障の重要性は日に日に高まっています。
こうした認識のもと、2年前には、立憲民主党も賛成して「経済安全保障推進法」が成立しました。その際、我が党の主導で付帯決議に盛り込まれたのが、経済安保分野へのセキュリティークリアランス(SC)制度の導入でした。
■セキュリティークリアランス制度とは
SC制度導入を柱とする今回の法案は、漏えいすると日本の安全保障に支障を来たすおそれがあるものを「重要経済安保情報」に指定し、これらの情報へのアクセスを民間企業の従業員も含め、信頼性を確認した人に限定するというものです。
G7(先進7か国)の中で、この制度がないのは日本だけで、経済界を中心に、国際標準の制度創設を求める声が寄せられてきました。
SC制度には、機密情報の保全という「守り」の側面と、これを民間ビジネスや研究開発で利活用できるという「攻め」の側面があります。両者は時に相反する場合もあり、そのバランスが非常に重要ですが、政府案は概ね妥当な内容であると判断し、立憲民主党は賛成しました。
■立憲民主党の法案修正
一方、法案審議を通じて、問題点や課題も明らかになりました。特に、国会や政府部内のチェック体制が不十分である点は、法案の大きな欠陥でした。
このため、立憲民主党は政府案の議員修正を提案、与野党の賛同を得て、政府案とセットで可決されました。その内容は、国会の監視と政府部内の監視のダブルチェックによって、政府による恣意的な運用やブラックボックス化を防ぐというものです。
今回の法案は、具体的な制度設計が、今後整備される政令や運用基準に委ねられている部分が多く、曖昧な点も残っています。引き続き、参議院での審議、政令や運用基準を注視していく必要があります。
■政府への信用・信頼があってこそ
政府による機密保全や取扱者の身元調査などを含む今回の法案には、「国民の知る権利や情報公開を妨げる」「プライバシーや人権を侵害する」といった懸念や疑念が根強くあります。
こういった問題は、合理的な制度設計と適正な運用によって払拭すべきですが、その大前提は、信用され、信頼される政府でなければならない、ということです。
その意味において、政府に対する国民の信用・信頼は十分なのか、十分でないとすれば、それはなぜか。政府は真摯かつ謙虚に自問自答すべきです。いま最もクリアランスが必要なのは、政府を構成する与党、とりわけ自民党ではないか。私にはそう思えてなりません。
2024年4月9日