
2/3 予算委員会 石破総理出席、NHK中継
質問要旨
1. 補正予算と財政健全化
2. プライマリーバランス黒字化目標
3. 半導体支援のあり方
4. 防衛費と防衛増税
要求大臣 総理、経産、財務
政府参考人 内閣府、経産省、防衛省
配付資料 あり
パネル あり
議事録
○安住委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
石破総理とは三度目の議論となります。今日もよろしくお願いいたします。
まず、財政健全化と補正予算についてお伺いをしたいと思います。
二〇二五年度にプライマリーバランス、基礎的財政収支を黒字化するとの財政健全化目標が実現できないということが確実になりました。この点について、我が党の野田代表が代表質問で、昨年末の巨額の経済対策、補正予算十三・九兆円が原因だと指摘をいたしました。これに対し、石破総理は、着実に財政状況は改善しているなどと開き直りの答弁に終始をされています。
しかし、この二〇二五年度プライマリーバランス黒字化は、閣議決定された目標なんですね。それを実現できなくなったことの重大性、責任を御理解されているのでしょうか。私は、総理大臣として無責任な答弁だというふうに思います。謙虚かつ真摯に、プライマリーバランス黒字化目標が達成できなかったことについて反省の弁を述べるべきではありませんか。いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 本年一月、内閣府が試算をいたしました。二〇二五年度のプライマリーバランスは黒字化しないという見込みが示されたところでございます。それは、いろいろな要因があって、補正予算を組みました、いろいろな財政需要がございました、予期しない事象も起こりましたということがございました。しかし、結果としてそれが実現できないということにつきましては、よくよくそのことを認識しながら、改めるべき点を改めねばならないと思っております。
○本庄委員 全く反省されていないですね。
黒字化目標が達成できず、四・五兆円の赤字ですね。その最大の要因は昨年の経済対策ですよ。マイナス五・八兆円の影響、ほかにもいろいろな影響は確かにあったと思います。だけれども、圧倒的な大きな理由なんですよ。そのことについて総理はどのように認識されていますか。
○石破内閣総理大臣 経済対策は必要であったと思っておりますし、それに見合った効果というものは発揮をされておる、発現されておるというふうに認識をしております。
それは、あれをやったからこんなことになったのではないかという御指摘かと思いますが、では、やらなかったらどうなりましたかということでございます。その地域地域において現場のお声をお聞きし、経済対策として必要なものを打ってまいり、御審議をいただき、そのような予算を執行しておるところでございます。
○本庄委員 去年の議論は水かけ論になると思いますので、これ以上深入りしませんが、ただ、閣議決定が達成されないということは事実ですよ、いかなる理由があっても。私は、その点については、きちっと正面から反省の弁を含めてお述べになるべきだと思います。
どんなに厳正に入学試験をやっても、裏口入学が認められていれば意味がないわけですね。今の当初の予算と補正予算の関係は、私は裏口とまでは言いませんが、かなり抜け道、逃げ穴になっている、その結果が今回のプライマリーバランスの未達成ということにつながっているというふうに考えています。
この点は是非総理にも御理解をいただきたいと思いますし、昨年の予算委員会でも、補正予算に依存するということはしない、本来であれば当初予算できちんと積むべきだ、こういう答弁もありましたよね。例えば宇宙基金、三千億円、二年連続で補正予算で積んでいました。今年の当初では、宇宙の予算は積まれておりません、基金の。ということは、今年度は、もう補正予算に依存しない、一年間、昨年の補正予算でつけた金額でいく、こういうふうに考えていらっしゃるということでよろしいですね。
○石破内閣総理大臣 それは、当初予算を編成したときに予期せざる事情が起こったときに補正予算というものを組み、そして御審議をいただくということでございます。本来そういうことであって、では補正を組むときに本当に予期し得なかった事象が発生したのかどうかということは、よく国会において御議論いただき、私どもも説明責任を果たしていかねばならぬ。
だから、補正予算と組み合わせてワンセットみたいなことは、本来、財政の趣旨に反するものであるということはよく承知をいたしております。そうでないと本予算の審議というものの意味が形骸化してしまうということもよく認識をいたしておるところでございます。その点は重々承知をいたしておりますので、今後とも御指摘を賜りたいと存じます。
○本庄委員 現時点では新たな宇宙基金の積み上げは要らないと判断してこの当初予算には計上していない、当然ですけれども、そういうことですね。今後もし計上するようなことがあれば、相当の説明責任を負うというふうに私は理解いたします。
その上で、総理は施政方針演説の中で、今年の骨太方針で、早期のプライマリーバランス黒字化実現を含め、今後の財政健全化に向けた取組を示す、こうおっしゃっています。
しかし、この早期にというのは非常に曖昧で、きちっと、いついつまでにと明確に期限を切った新たな財政健全化目標を再設定すべきだというふうに思いますが、この骨太で決めるとおっしゃっているものは、期限が明記された健全化目標になるんでしょうか。基本的な考え方です。お答えください。
○石破内閣総理大臣 委員の御指摘は、骨太において明確に示せというようなこともお考えなのかなというふうに思っておるところでございます。
早期のプライマリーバランス黒字化の実現に向けて、経済あっての財政の考え方の下で、歳出歳入両面の改革を継続するということの方針は明確にお示しをしておるところでございます。
今までと違いますのは、金利のある世界という中に入っていくことになりました。そしてまた、大災害、有事に備えた財政力というものも確保していかねばなりません。そういう意味で、早期のプライマリーバランス黒字化の実現ということは、御指摘いただきました期限も含めて、今後議論をしていかねばならぬと思っております。
財政健全化の旗は降ろしません。旗さえ降ろさなきゃいいというものではございませんので、その点はよくよく承知をいたしております。時期の明示も含めまして、今後政府部内でよく検討してお示しをしたいと思っております。
○本庄委員 安倍政権のときに、二〇二〇年度というのが延期をされて今の二〇二五年度になったわけですね。これが達成できないので次の目標を早期にということですが、場合によっては次は期限なしの目標かもしれない、こういうことですか、総理。
○石破内閣総理大臣 期限なしの目標に意味があると私は思っておりません。
○本庄委員 では、しかるべき時期で、そして、確実に達成できる、するんだという覚悟を持った時期を是非設定していただきたいと思います。その設定がされた後、また議論を深めたいと思います。
予備費についてお伺いをしたいと思います。パネル、配付資料一を御覧ください。
二〇二五年度、来年度予算で予備費として一兆円が計上されています。この積算根拠がよく分からないんですね。
平成三十年度、二〇一八年度までは三千五百億円程度で推移をしています。令和元年、二〇一九年度以降は、コロナとかウクライナ対応とか物価高といった特定目的の予備費、これは五兆とかいったわけですが、これを除けば一般予備費は五千億円で推移をしています。昨年も、五千億円の予備費に能登の復興ということで修正をして一兆円にしたということであって、ベースは五千億でした。
来年度、二〇二五年度予算も、概算要求では五千億円という中で、実際に出てきた予算案は倍増の一兆円ということになっています。これはなぜ一兆円に膨れ上がってしまったんでしょうか。財務大臣、お答えください。
○加藤国務大臣 今、お話がありました令和七年度予算における予備費の計上については、頻発する自然災害、物価高騰、国際情勢変化等の予期せぬ事態が生じた場合に機動的、弾力的に対応できる備えとして必要ということで、一般予備費を積み増して、一兆円の計上をしております。
御指摘のように、コロナ禍以前においては一般予備費の計上が五千億でありました。他方で、足下、令和六年度では、能登震災や物価高騰などへの対応のため、現時点においても一兆五千億程度の使用をしている状況であり、こうしたことを踏まえて、今回計上している一兆円の予備費が予期せぬ事態に機動的、弾力的に対応するための備えとして必要ということで計上したところでございます。
○本庄委員 予期せぬはいいんですけれども、予備費は憲法にも書かれておりますね。予見し難い予算の不足に充てるため、憲法八十七条に規定された支出であります。
今おっしゃった物価高、エネルギー高というのは、昨年末も補正予算で対応しています。もし同様のことが、例えば、夏、冬、電気代がかかるんだというようなことであれば、もう今からでも見通せる話です。しっかりと予算計上すべきですよ、予備費ではなくて。
あるいは、非常時であれば、おっしゃったように、特定目的予備費という形で計上することも選択肢ではありますが、今回はそれを取っておられませんね。それは、昨年閣議決定された骨太方針でも、歳出構造を平時に戻すと。平時ですね、つまり五千億ですよ、平時は。戻すということを閣議で決めているわけです。我々、この予備費は余りにも過大だというふうに考えております。
これは総理に伺いますが、閣議決定に基づいて、平時の五千億円に予備費は戻すべきではありませんか。いかがですか。
○石破内閣総理大臣 足らざるところがあれば財務大臣から後ほどお答えをいたしますが、現時点において、令和六年度ですね、一兆五千億円を使用しておるところでございます。予期せざる事象というものが非常に頻発する、それは自然現象もそうでございます、国際社会においてもそうでございます。もちろん、そういうものがきちんと予見できるように、当初予算というものについていろいろな可能性を考えながら編成をいたしまして、今、御審議をいただいておるところでございます。現時点で一兆五千億円を執行中であるということを考えますれば、一兆円というものは過大であるというふうに私は認識をしておらないところでございます。
ただ、そういうことがなるべくなるべく少ないように当初予算の編成を行い、御審議をいただくということは、憲法の趣旨からいっても当然のことだと理解をいたしております。
○本庄委員 物価高対応が予備費で計上すべきほど予見できないものなのかということは、私は考えを異にしております。
懸念していますのは、これは配付資料の二を見ていただきたいんですけれども、この過大な予備費が余ったらどうなるかという話です。
この予備費も含め、余ったお金、予算は決算剰余金という形になります。そして、その決算剰余金は、半分が国債の償還に充てられるということです。ところが、さあ、残りはどうなるのかということですが、配付資料二を見ていただきたいんですが、二〇二三年度決算、剰余金八千五百億円に対して、四千二百億円が防衛財源に回る。さらに、二二年度決算を見ると、二・六兆円剰余金がありましたが、このうち半分、一・三兆円が防衛財源に回るということで、過大な予備費が余った場合は防衛財源に回るというのが今の仕組みなんですね。そのために予備費を積み増しているんじゃないかと思われても仕方がないという状況です。
我々、先ほど申し上げましたように、予備費一兆円は平時の五千億円規模に戻して、他の必要経費の財源に充てるべきだというふうに考えております。我々、そういった修正を提案していきたいと思いますが、総理、是非受け入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、ちょっと予備費と剰余金のお話でありますけれども、御指摘のように、防衛力強化のための安定的な財源の確保という観点から、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、税外収入の活用と併せ、決算剰余金の活用、これはもう明らかにしているところであります。
その上で、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれた場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定、これは出納整理期間の制度でありますが、に基づき、特例公債の発行額の抑制に最大限努める、いわゆる、その年、年度を越えた次の六月までよくその動向を見て判断するとされているところであります。
そして、予備費の規模やその不使用による歳出不用の増加と決算剰余金の金額が、そういった意味で、直接的に対応するわけではありません。実際、令和五年度の決算においても、予備費に関しては約一・六兆円の不用が生じましたが、税収等の上振れもあり、特例公債発行額はこれを上回る九・五兆円を減額をし、結果、決算剰余金の金額は〇・九兆円となり、これは予備費の不用額を下回っているわけであります。
御指摘のような、防衛財源を確保するため、決算剰余金を膨らましたり、あるいは予備費を過大に計上しているという御指摘は当たらないものと考えております。
○本庄委員 そこに縛りはありませんよね。実際、発行した国債は減額になっているといったって、ゼロになっているわけじゃないんですよ、結局。ですから、減額に努めてはいるかもしれませんが、やはり、一部は防衛に回っているわけですよね、余ったお金は。それが現実じゃないですか。いかがでしょうか、大臣。
○加藤国務大臣 ですから、最初に申し上げた防衛財源の確保の考え方は大きく四つでありまして、歳出改革、税外収入、決算剰余金、そして、国民の皆さんに御負担をお願いする、この四つの柱で確保するということは申し上げてきている。しかし、決算剰余金をそのために積み増すということはしているわけではありません。結果として出てきた決算剰余金をどう使っていくか。
これまでも予算の中で毎年度決算剰余金は活用しているところでございますし、例年を見ると、コロナの前においては一兆円を超える決算剰余金が計上されている時期も結構、多々あったわけでございますので、申し上げたいのは、そのために決算剰余金を膨らましている、あるいは予備費を過大に計上している、こういう考え方は取っていないということであります。
○本庄委員 まあ、そのために積み増しているなんて言う人はいませんよ。ただ、そう見えるし、そう取られますよ、そういうふうに申し上げているんですね。答弁になっていないと思います。
繰り返しになりますが、過大な予備費は削減をして他の必要な経費に充てるべきだ、こういった提案をしてまいりますので、是非受け入れていただきたいと思います。
時間もありますので、半導体の話に移りたいと思います。
まず、ちょっと基本的なことから、考え方から申し上げたいと思いますが、我々立憲民主党も、私個人も、半導体の重要性、それから国の支援の必要性、これについては十分理解しています。推進すべきだというふうにも思っています。一方で、巨額の税金を特定の産業や企業に投入するということは、そのリスクやモラルハザードも含めて、やはり慎重に検討しなければいけないというふうに思います。こういった観点から、半導体支援の在り方について議論させていただきたいと思います。
まず、配付資料三、パネルを見ていただきたいんですが、旧通産省、経済産業省の産業政策、特に、一九八〇年代以降の半導体支援は、失敗の歴史だったと言われても仕方がないと思うんですね。
一九八八年は、日本は半導体の世界シェア、五〇%ありました。一方で、アメリカとの関係もあって、日米半導体協定が結ばれ、貿易の規制、あるいは、例えば日本国内では海外の半導体を二割使わなきゃいけない、こういったことも課されました。そういう中で、反転攻勢を期していろいろなプロジェクトが組まれた。MIRAI、HALCA、ASPLA、あるいは、書いていませんが、あすか、いろいろなものがあります。そして、四百六十五億、十七億、三百十億というお金も投じられてきました。しかし、まさに半導体は衰退の一途をたどってきたわけです。
そして、極めつけが、このエルピーダメモリ社ですね。一九九九年にNEC、日立がつくり、三菱が合流をし、スタートしました。しかし、リーマン・ショックなどもあり、経営が苦しくなって、産業再生法が適用され、結局、三百億円の出資、百億円の融資という形で、四百億円の公的資金の支援を受けました。しかし、その結果は、二〇一二年に経営破綻です。そして、今どうなっているかというと、アメリカのマイクロンという企業に買収されているんですね。大きな利益を出していますよ、今、マイクロン。そして、今、ラピダスという会社に新たな投資をしようとしている。
今現在、半導体のシェアは世界で一〇%を切りました。この三十年間を見れば、明らかに失敗の連続なんですね、申し訳ないですが。
経済産業省に伺います。大臣、まず、この検証、失敗の歴史、されているのかどうか。そして、その検証の中で、されているのであれば、経済産業省自身の責任をどのように総括されていますか。お答えください。
○武藤国務大臣 本庄委員から御質問いただきました。
経済産業省の責任についてでありますけれども、今パネルにお作りいただきました先生の御指摘のとおり、一九八八年、五〇%のシェアが、今何と八・七%、これはまさに我々の、今おっしゃられた日米の半導体協定に始まり、様々な貿易摩擦の影響、またバブル経済崩壊というものがあって、そういう意味の中で大胆な投資ができない、政府として適切な投資をしてこなかったという反省があり、これを真摯に反省をしなくてはいけませんし、検証という意味ではそういう形でされてきたところであります。
そして……(発言する者あり)じゃ、外部有識者は後にしておきます。
○本庄委員 今、検証されてきたとおっしゃいましたので、その検証したものを、資料を本委員会に提出していただきたいと思います。
委員長、よろしくお願いします。
○安住委員長 理事会で協議します。
○本庄委員 その上で、投資が足りなかったとか支援が足りなかったというようなお話もありましたが、エルピーダメモリの社長だった坂本さんは、国の支援がなかったと言っているんですよ。独り、孤軍奮闘していたと。そういう中で、最終的には経営破綻に陥ったということで、今の大臣のお話は、私は正確ではないと思います。そういったことも含め、つまり、なぜエルピーダメモリを救済しなかったのかというようなことも含めて、しっかりと検証を示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、配付資料の四ということで、これはパネルにもしていますが、今の話に移りたいと思います。
これは、総理も半導体に五十兆円の官民投資ということを繰り返しおっしゃっています。ここ三年間だけを見ても、半導体産業への巨額の税金が投入されてきています。令和三年度補正から七千億円、一・三兆円、一・九兆円、一・四兆円、そして、今回の七年度予算でも〇・三兆円と計上されています。これは、合わせると五・七兆円ですよ。巨額の税投入がこの三年間だけでも行われています。うち、このラピダスという特定の会社に九千二百億円、一兆円近く投じられている、あるいは投じる予定と決定されている。さらに、来年度の予算案では一千億円の金融支援も含まれている。こういう状況です。
この総理のおっしゃっている五十兆円とか、さらに、半導体フレームで十兆円支援するという話もありますが、この金額の必要性、根拠については、私は定かではないというふうに思いますが、このラピダスへの投資、これも非常に不透明な部分が多いというふうに思っています。
この会社は、次世代の半導体を作るベンチャー企業で、トヨタとかデンソー、ソフトバンクなどが出資をして二〇二二年に設立をしました。二ナノという世界最先端の、今各国しのぎを削って、各社しのぎを削っているものについて、今研究開発をしていますが、もう二年後に量産を開始すると。まだまだ試作品もできていません。この春できるらしいんですが、ただ、二年後にはもう量産を開始するという話になっています。
どこまでお金を入れていくのか、どういう形で、これが見えないまま九千二百億円まで来ているということです。
そこで、経産大臣にまずお伺いしますが、ラピダスが二年後の量産開始までに必要な資金、幾らですか。そのうち、国は幾ら支援しようとしているんでしょうか。お考えをお聞かせください。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
先ほどの御質問の中で、ちょっと一部、その検証を出せということですけれども、日の丸自前主義といいますかね、結局、世界、今、今回TSMCみたいな台湾との連携が始まりましたけれども、そういう国内企業同士の統合を優先してしまったという我々の判断、そして民間の判断はあるんだと思います。ビジネスを取り巻く情勢分析といいますか、そういうものもしっかり見ながら、この検証をまた今後出していきたいと思いますし、今の話の中で、今の外部有識者の話でありますけれども、ラピダスにつきましては、今おっしゃったように、これまで、合計、研究開発費として九千二百億円投入をしております。
外部有識者が研究開発の進捗状況あるいは事業計画等の精査をした上で支援額を判断することとなりますので、現時点で支援総額の見通しをお答えすることはできないと思います。民間資金の調達のうち、出資については、今おっしゃったように、一千億円、これを今国会の中で、また法律の中で決めていただきますけれども、調達を見込んでいるところであります。
そして、今の現時点でのラピダスの進捗状況でありますけれども、課題があることは承知をしております。もちろん、量産技術の確立、顧客の獲得、資金調達、人材の確保、育成等の課題、これも様々でありますけれども、大きな問題がございます。
この上で、外部有識者から、研究開発は今現在順調に進捗しているとの評価をいただいております。本年四月から、北海道千歳で試作ラインが稼働が開始をする予定をしております。顧客獲得に向けても、国内外での事業者との提携、連携が進んでいる。現時点で一千億円程度の民間出資が見込まれている中で、これの、いわゆるユーザーの拡大も含めて進めていきたいというふうに思っております。
政府としては、次世代半導体の量産に向けて、事業者の財政基盤を強化しつつ、民間からの資金調達を促進する観点から、出資や債務保証等の禁止を、可能とする法律案を出します。
○本庄委員 大臣、本当にこれは失敗の歴史を検証したんですか。そういう対応だから失敗を続けてきているんじゃないですか。
もう二年後の量産開始なんでしょう、まだ試作品もできていないけれども。そこに幾らかかるかも見通せていないんですか。そういう中で九千二百億円、もう投じているんですか。どこまでやるんですか。
やはり、全体像をちゃんと示してくださいよ。何に対してどこまで国が税金で面倒を見るのか、いつまで面倒を見るのか、顧客や販路をどうするのか、採算が取れるのはどうなればなのか。何にも今示されていませんよ。
総理、どう思いますか。これで更に税投入……
○安住委員長 ちょっと、野原担当局長がいるから。
経済産業省商務情報政策局長、まず、ちょっと端的に今の質問に答えて。その後、総理に質問して。
○野原政府参考人 ラピダスにつきましては、ラピダス設立当初から、ラピダス側は、研究開発で二兆円、量産化投資に三兆円かかるという説明をしています。これは、二ナノの開発、量産に取り組んでいる他社、海外の他社にも確認をいたしますと、研究開発で二兆円台、量産投資、一棟二兆円台かかるということを言っていますので、ラピダスの説明している額は、そんなにグローバルな相場からは外れてはいないというふうに思います。
ただ、総事業費の妥当性は、外部有識者で確認しながら精査していく必要があります。国の研究開発予算でありますとか、あるいは、二〇三〇年頃のIPOを目指していますので、IPOをして資本市場で調達するとか、あるいは、それよりも手前のところで、官民で、量産投資、生産ラインの拡張のところでは官民の資金を組み合わせてやるということになってきますので、それぞれのところで幾らぐらい出てくるか。ラピダスが二〇二七年の十月から量産しますので、その分のキャッシュフローもありまして、その辺の組合せで額が決まってきますので、政府がどこの部分を支援で手当てするかというのは有識者で精査しながら決まってくるということで、決まっていないということを申し上げています。
○本庄委員 結局、税金の逐次投入なんじゃないですか。たかだか二年先まで、しかも、五兆円要る、あっ、五億円要ると……(発言する者あり)五兆円か、済みません。五兆円要ると。余りにも巨額過ぎて、間違えてしまいました。五兆円要ると。もう一兆、国は出している。あと四兆要る。そこをどう民間とシェアするのか、それも今の段階で見通せないまま、更に一千億の金融支援、あるいは、場合によっては更なる補助金、こういったことを考えているんですか。私は、ちょっとあり得ないと思いますね。
大事ですよ、もちろん。私は、ラピダスにも成功してもらわないと困るし、北海道の皆さんの期待も高い。でも、だからこそ、全体像をしっかり示して、そしてその支援の基本方針も示して、ロードマップも示して、その上で、一兆出す、二兆出す、こういう話をやはり国会にはすべきじゃないですか。総理、いかがですか。
○石破内閣総理大臣 委員のおっしゃることは至極ごもっともだと思っております。いやしくも税金を使うわけですから、そういうことが分からないでこの計画が進むということはあってはならない。
同時に、おっしゃいますように、これは失敗するわけにいかないので、そしてまた北海道の皆さん方の御期待もある、そしてまた雇用も創出していかねばならない、事実そのとおりでございます。そういうことを確実なものとするために、国民の皆様方に対する説明責任を果たしてまいります。
同時に、これは物すごい国際競争をやっておりますので、全てを明らかにするというわけにはなかなかいかない部分もございますが、政府の中でよく検討いたしまして、納税者の方々にも御理解いただくことができるように努めるのは当然の責務だと認識をいたしております。
○本庄委員 このラピダスに十億円出資しているソフトバンク社長の宮川さんが去年十一月、記者会見していまして、ラピダスについて聞かれまして、課題は山積みだと答えているんですね。半導体も作るまでがゴールではなくて、作って売って、それが継続できるかだ、TSMCと本当にやり合えるだけの製造能力のある工場を造っているかというとそうでもない、出資者がこう言っているんですよ。その上で、孫正義会長が追加支援に反対しているということも示唆をして、えらいけんかになったと述べているんですね。
これは、出資している企業でさえこういう状況ですよ。私は、この先、本当に民間の投資、出資が集まるのかどうか非常に不安です。その根本にあるのが、全体像が見えないと。もちろん、リスクはありますよ。でも、全体像が見えないということだと思います。
今国会にも経産省は法案を出していますよね。新たな半導体支援のフレーム、二〇三〇年までに十兆円を投じるということですが、その中にはラピダスの支援も入っているんでしょう。
この法案は、これから審議です。いろいろな情報は報道などでも出ていますが、例えば、一千億を拠出する先は情報処理推進機構、IPA。ここは、半導体の知見なんかあるんですか。出資や金融支援の経験があるんですか。そんなところに慌てて一千億も金を渡して、年内にラピダスに出資する。私は、こんなことはあり得ない話だと思います。
こういった議論も法案審議の中でしっかりやらなきゃいけないし、今ほど申し上げてきた全体像についてもきちっと示していただかないといけないと思います。
このラピダスに対する様々な支援、もっと言えば半導体産業全体に対する支援は、そういった大きな枠組みや基準をしっかりと政府が示してからこれから更に前に進めていくべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 法案を今国会において御審議いただきたいというふうに思っております。
同時に、国際競争が激烈であるということを考えますと、法案の御審議をいただき、成立した後に支援をするということになると、一年遅れるということが起こります。当然、時程表からいえばそういうことになります。その一年の遅れが取り返しのつかないことになりかねないものでございまして、法案の審議の際に、今委員が御指摘のようなことがきちんと明らかにできるように、私も、このラピダスの話は、もうかなり前から何度も聞いておりますし、経営者の方々からもお話も聞いてまいりました。
また、経産大臣始め、担当の者たち、現場にも行きまして、よく把握をいたしておるつもりでございますが、つもりだけであってはいけないので、一年遅れるというわけにはまいりません。
しかし、法案の御審議の過程において、そういうことが得心をいただけるように、政府として更に努力をいたしてまいります。
○本庄委員 せいては事をし損じるという言葉もあります。貴重な税金を使う、そしてこれは、場合によっては国民負担に最終的になる可能性もあるわけですね。私は、そのリスクについてもきちっと国民の皆さんに対して政府は説明すべきだと思います。その上で、やはり大事な産業だから税金を投じていくんだ、私は、こういう丁寧な、真摯な姿勢が求められていると思います。
その上で、もう一つちょっと懸念を申し上げたいと思います。トランプ二・〇リスクですね。
このラピダス社は、アメリカのIBMと技術協力をしています。これまでは順調に来たかもしれません。しかし、トランプ大統領の言動、政策を見ていると、いつ待ったがかかるか、介入が入るか、予断を許さないと思うんですね。
例えば、国の大事な先端技術が日本に流れることはけしからぬ、外国に流れることはけしからぬということもあるかもしれません。あるいは、北海道じゃなくてアメリカで生産しろと言うかもしれません。これは分かりません。ただ、リスクではあるというふうに思うんです。
そこで総理にお願いをしたいなと思うんですが、今度、日米首脳会談をされます。これまでも日米間では半導体協力について首脳間で協力をするということを確認をしてきています。石破総理も、今度首脳会談するときに、是非この半導体協力を日米間で引き続きやっていくんだということを改めて再確認されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○石破内閣総理大臣 トランプ大統領が半導体に非常に強い意識を持っていることはよく承知をいたしております。台湾に対しましても、半導体をめぐりまして非常に強烈な問題意識を持っているということもいろいろな情報から承知をしておるところでございます。
トランプ大統領との会談におきまして、どういう会談の流れになるか、まだ今予断を持って申し上げることはできませんが、半導体をめぐる日米の協力の重要性につきましてもよく認識を一致させたいと思っております。
○本庄委員 是非、予期せぬトラブルが起きないように、丁寧な議論をしていただきたいというふうに思います。
私、冒頭にも申し上げましたが、半導体の必要性、これは十分に我々は理解しております。一方で、産業政策は半導体だけではありませんし、そもそも政策経費は産業政策だけでもない。社会保障、防衛、その他もろもろ、多くの必要な分野が控えているわけです。そういう中で、特定の分野、企業にやみくもに税金をつぎ込んでいくということは決してあってはならないというふうに考えておりますので、是非よろしくお願いします。
最後に、防衛についてお伺いをしたいと思います。
二〇二五年度の税制改正で、防衛財源として法人税、たばこ税を二〇二六年四月から増税という方針が決まっています。まだ確定はしていませんね、国会での議論次第です。一方で、二〇二七年一月から所得税も増税するとなっていましたが、これは見送りとなりました。
総理は就任前、東洋経済のインタビューで、防衛費は基本的に法人税で賄うというのが国民の理解を得やすい、こういうふうにおっしゃっているんですね。
○安住委員長 本庄君、間もなく質疑時間が終わりますから、最後の質問にしてください。
○本庄委員 はい。
そこで伺いますが、我々は法人税、たばこ税も含めて反対ですけれども、せめて、この御持論どおり、この際、所得税増税はもう見送られたらいかがでしょうか。総理、いかがでしょう。
○石破内閣総理大臣 御指摘も踏まえてよく検討いたしてまいります。
要は、応益負担と応能負担の一致点をどこに見出すかということでございます。防衛力を増強すること、整備することによって、これは国民全体が裨益をするものでございます。しかしながら、どこが負担能力を持っておるかという点につきましては、国民の皆様方の御負担能力というものを考えながら、今後よく議論してまいりたいと思っております。
○安住委員長 終わってください。
○本庄委員 終わります。ありがとうございました。