4/6 内閣委員会(経済安全保障推進法案④) 立憲修正案の提出者として答弁。また党を代表し討論
質問要旨
山岸一生議員からの質問要旨は以下のとおり
1. 政府案にどのような問題があると認識して、修正案を提出したのか。
2. なぜ基本理念が必要なのか。
3. 基本理念の第四項で、政府の行政改革の基本方針との整合性を確保することとしたのはなぜか。
4. 基本理念の第五項で、条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないようにすることとしたのはなぜか。
5. 政省令を定める場合に、外部有識者の意見を聴取するとしたのはなぜか。
6. サプライチェーンの調査にはどのような問題があると認識しているか。
7. 政府による国会への報告を義務付けた趣旨は何か。具体的に、何を報告することを想定しているか。
8. 特定重要設備の導入後等の勧告及び命令にはどのような問題があると認識しているか。
また、特定社会基盤事業者に対し、 できる限りの援助をすべきではないか。
9. 特許出願の非公開に係る手続に関し、どのような問題があると考えるか。
( 答弁者 本庄知史 )
議事録
【山岸一生議員への答弁】
○山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。おはようございます。よろしくお願いいたします。
今日は、我が党が提出をいたしました修正案につきまして、提出者であります本庄知史委員とともに議論をさせていただきたいと思います。
この修正案、先ほど森山浩行委員から説明をさせていただきましたけれども、今日は多くの国民の皆さんもインターネット中継で御覧だというふうに思いますけれども、読み上げただけではなかなか御理解いただくのは簡単ではないのかなと。しっかりと提案者とその意図、狙いということを議論させていただく中で、政府案の問題点、さらには修正案の意義ということについてお示しをしていきたいと思います。
少し比喩的に申し上げますと、我々は政府案の問題点をこういうふうに考えています。経済安保という網をかけるんだけれども、その網が必要以上に大き過ぎる、そして網の目が粗過ぎるという、二つの問題があるというふうに考えています。我々はこれを、網を適正な規模に、より小さくして、さらに、網の目を細かくしていく、こういうことを考えているわけであります。
網がでか過ぎますと、経済活動に対して、やはり必要以上の萎縮ということにもつながりかねない。さらに、網が粗過ぎますと、多くの部分を政省令、つまり政府の裁量に任せるという形になってしまいます。
この間、私自身はひたすら経済安保ビジネスということを議論してまいりましたけれども、まさに、政府の裁量が大き過ぎることによって、癒着あるいは様々な利権ということにもつながりかねない。こうしたことをしっかりと抑えていくという意味でも、網を小さくし、網の目を細かくしていく、これが基本的な考え方でございます。
と私が申し上げてもあれですので、しっかり提出者の本庄委員からお話をお聞きしていきたいと思うんですけれども、るるお話をしてきたように、今議論してきた政府案に、我々としてはどういうふうな問題があるというふうに認識をして今回のこの修正案を提出をされたのか、まず基本的な考えを教えてもらえますか。
○本庄委員 山岸委員の御質問にお答えする前に、我が党の修正案の提出が本日になりましたのは、五五年体制でも何でもなく、十分な国会審議を踏まえた上での提出が必要だ、こういう判断で本日になったということを申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、一連の法案審議を通じて、政府案には例えば次のような問題があることが明らかになりました。
まず、政府案には、留意事項が規定をされていますが、法律全体を通じた基本理念、思想的なものがありません。また、留意事項において、規制の措置は、合理的に必要と認められる限度、このように規定をされていますが、合理的に必要という文言は、政府の裁量の範囲が極めて広く、自由かつ公正な経済活動の促進が脅かされるおそれがある。さらには、個別の事項を数多くの政省令に委任をしており、政府によって恣意的な運用が行われる懸念がある。そして、こういった政府の運用を事後的に検証する仕組みが十分に入っていません。
これらの問題点を踏まえまして、立憲民主党提出の修正案では、法案全体に通じる基本理念を定めて、そして基本方針はこの理念にのっとって策定をするものというふうにしています。また、政府の運用を国会がコントロールするために、重要な政令、省令を制定、変更する場合に外部専門家の意見を聴取する、このことを法律に明記をする、あるいは、事業者への影響が大きい措置に当たっての要件を厳格化しています。さらには、政府の運用を事後的に検証するために、政府による国会への報告を義務づけています。
これらの修正は、政府案を補完、補強するものであるというふうに考えております。
以上です。
○山岸委員 今、冒頭、本庄委員からも、タイミングの問題について発言がございました。
この間、国会で議論をしていく中で、政府案の問題点、足らざるところ、あるいは行き過ぎじゃないかというところが数々明らかになってきた。実際、ここ数日でも、市民の皆さんあるいは各種団体の皆さんからも、こういったことは変えた方がいいんじゃないか、これは何とかならないかというふうな切実なお声も寄せられております。
我々としては、まさに、こういった法案審議を通じて明らかになってきた問題をカバーをしていく、補っていくという視点で提案をしておりますので、まさにこれは、タイミング、時宜を得た提案だということは改めて強調させてほしいというふうに思います。
今、その上で、基本理念ということでございました。基本方針という言葉は、この間、何度も何度も議論してきましたけれども、これは政府が作る基本方針です。今回、法案に基本理念ということを入れていこうということで、今、本庄委員から答弁がありました。基本理念があって個別の規定がその後に続く、こういう仕立てを明確にしようということでございます。例えば日本国憲法も、前文があって、その後、各条文がある、こういうふうになっていますけれども、この構成をはっきりしようという修正なわけです。本庄委員にお伺いいたします。なぜ基本理念が必要なんでしょうか。
○本庄委員 今回のような大きな法案、しかも、自由と規制、あるいは経済と安全保障、場合によっては相反するかもしれない、こういったことが多く含まれる法案については、私は、基本的な考え方、思想というものが大事だというふうに考えております。
今回の法案審議を通じて、我が党は、規制が経済活動を不当に阻害することがないようにすること、事業者等の自主性の尊重、政府の説明責任等の必要性を主張し続けてきました。政府の方も、それらの事項を基本方針あるいは基本指針の中で書いていくということ、あるいは、法案成立後、閣議決定していくということが答弁ではなされております。
しかし、これらの事項は、安全保障の確保に関する経済施策においては普遍的な理念だというふうにも言えるものです。本来は法律にしっかりと書くべきものだというふうに考えております。したがって、これらの事項を基本方針の中で規定をし、政府の運用に任せることは、国民にとって安全保障の確保に関する経済施策の理念をかえって見えにくくしてしまうというふうに考えております。
そこで、私どもの修正案では、法案審議を通じて明らかになったこの普遍的な事項、基本的な事項、これを基本理念の中に位置づけまして、安全保障の確保に関する経済施策の方向性を国民に対して明確に示すものだというふうに考えております。
以上です。
○山岸委員 今、本庄委員からは、基本方針というものに全て入れてしまうと国民から見えにくくなるよという指摘がありました。
これは実際、私がこの間、質疑の中で何度もやらせてもらった話なんですけれども、多くの制度の内容が政府の裁量に委任をされる、そうなりますと、ルールをいち早く察知をした人間、詳しい企業というものが有利になる、こういう仕掛けになってしまいます。
経済安全保障という非常に巨大な新しいルールの体系が導入される、そのことによって、いわば先にそういう情報をつかんだ者が利益を得るような構図があってはならないということが、私の、この間、根本的な問題意識で、お伺いしてまいりました。
そうした観点からも、政府に全ての裁量を委ねるんじゃなくて、基本理念ということで、明確に、何のための法律か、どこまで規制するのかということを、枠をはめていく、そういうふうなものであるというふうに理解をいたしました。
これから、この基本理念の内容に関してお聞きしていきたいと思うんですが、ちょっと個別の話になりますけれども、基本理念、第四項になりますけれども、政府の行政改革の基本方針との整合性を確保するという記述がありますけれども、この規定の意図、狙いを教えてもらえますか。
○本庄委員 今回の法案審議の中で必ずしも十分に議論がなかったのかなと思う論点の一つ、これは行革との関係です。
この法律には、例えば、安定供給確保支援法人基金の設置、特定重要技術の研究開発の促進等を目的とする指定基金の指定、こういった国による資金の拠出が想定される施策がいろいろと規定をされています。あるいは、主務大臣を始めとする政府の権限あるいは技術や特許の秘密、こういったものが大きく広がり得る内容となっていて、行政の肥大化のリスクというものも懸念がされるというふうに考えます。
そこで、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進という名の下で、いたずらに国費が投入されることや政府が過度に介入をすることを防ぐために、政府の行政改革の基本方針との整合性を確保するようにしなければならない、こういう基本理念を入れさせていただいた次第です。
以上です。
○山岸委員 今、本庄委員から、第四項については、これまでどうも行革についての議論が十分ではなかったのではないかということで説明がありました。
同じく、私、少し議論が足りていないかなというところが、やはりWTO、様々な国際約束との整合性というところについて、これも今回修正案の中で、四項に続く第五項で書き込まれております。
実は、このテーマは、私、有権者の方からもこの間指摘をいただきました。政府案の第九十条とほぼ同じ内容を基本理念に書き込んでいて、それが第五項なわけですけれども、条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないようにするというふうに規定をされています。
この理由、九十条から移したということも含めて、この記述の必要性、意義を教えてください。
○本庄委員 今委員御指摘のとおり、政府案では第九十条、国際約束の誠実な履行について規定があります。
他方で、我が方の修正案ですが、これは、新たに基本理念を設けましたが、その中に書くこととした、これはより上位概念に位置づけたという趣旨であります。
なお、文言で言いますと、政府案の方は、「履行を妨げることがないよう留意しなければならない。」、こういう記載です。私どもの修正案では、「履行を妨げることがないようにしなければならない。」ということで、より強い義務規定というふうにしております。
以上です。
○山岸委員 今、本庄委員から上位概念という言葉での説明がありました。まさにこれが今回の我々の修正案の最大のポイントと申し上げていいんだろうというふうに思います。個別の規則、規制に対して、それは何のためにあるんだ、何のためにやるんだ、誰のためにあるんだということを明確に位置づける、こういう整理をしているわけでございます。
この法案、様々審議をしていく中でも、とかく政省令への委任が多い、つまり政府の裁量に委ねることが多い法案ですから、政府がこれから具体的な施策を進めていく上に当たっても、これをコントロールしていくという点で、私は、上位概念という意味での基本理念が必要であるということを改めて申し上げたいと思います。
今お話をした政省令、政令、省令ですけれども、ここの部分についても修正案に記述があります。七条などの部分になるかと思うんですけれども、とりわけ、特定重要物資を指定するための政省令を定める場合に、外部の有識者の意見を聴取をするというふうに定めております。
この規定を設けた意義と理由を教えてください。
○本庄委員 今回の政府の提出法案ですけれども、多くの重要事項が政令あるいは主務省令に委任をされている、結果的に政府の運用に委ねられている部分が多いというのが一つの問題点だというふうに思います。
例えば、今お話のありました特定重要物資を指定するための政令、これについては、今後閣議決定をする安定供給確保基本指針において定めるということで、具体化が政府に委ねられています。この間の審議の中で、そういった中で、有識者や関係者のヒアリングあるいはパブリックコメントもやるよという答弁もありましたが、しかし、法律的に必ずしも担保をされているというわけではないというふうに思います。
そこで、我が方の修正案では、特に、経済団体を含め関心の高い重要事項である特定重要物資を指定するための政令、それから特定社会基盤事業者の指定の基準に係る省令、さらには特定技術分野を定める政令について、それぞれの制定あるいは変更の際に、更に、外部有識者の意見を聴取することを法律に明記をする、これによって政府による恣意的な運用を防ぐ、こういうふうな措置を取っております。
以上です。
○山岸委員 非常に広範になってくる政省令の体系において、特に重要な部分について有識者の意見を聞くという枠をはめる、こういう提案でございました。
やはりこの間の議論、なかなか、伺っても、それは全部政省令ですという話になってしまうので、議論が煮詰まらなかったなというのは正直我々もあるわけなんですけれども、その中で、特出しをして、どうしてもこれはきちんと外部有識者の意見を聞いてやってもらいたいという内容だ、そういう説明でございました。
続けて、サプライチェーンの問題に関してもお伺いしていきたいというふうに思います。
サプライチェーンの調査、この間の議論でも様々ありましたけれども、修正案でも、サプライチェーンの調査について修正を加えていらっしゃいます。
まず、現状、政府案における調査の在り方だとどういうふうな問題が生じるというふうに懸念をしているのか、まず、その前提となる認識を教えてもらえますか。
○本庄委員 問題というか、政府の法案が考えているたてつけですが、主務大臣が、サプライチェーンを担う事業者に対して、所管する事業に係る物資又はその生産に必要な原材料等の生産、輸入、販売、調達又は保管の状況に関して必要な報告又は資料の提出を求めることができる、こういう規定になっております。これは、場合によっては、企業の秘密あるいは営業の秘密、こういった核心に触れる可能性があって、あるいは、小さい企業なんかからすれば、そういった報告をすることそのものがかなりの負担になるということも考えられるわけです。そして、法案審議の中でも、大企業だけではなくて、孫請会社あるいは中小、個人も対象になる旨、これは答弁がありました。
そういう中で、このサプライチェーン調査は非常に広範な範囲にわたるというたてつけになっていますので、過度な負担が生じないように、本修正案、私どもの修正案では、報告や資料の提出を求めることができる場面を、第二章の規定に、特に必要な限度と、特に必要なということで要件を絞る、条件を絞る、こういうことを規定をさせていただいております。
○山岸委員 今、本庄委員から、孫請会社あるいは中小企業や個人もという部分について説明がありました。これは政府答弁からそういうことがあったわけなんですけれども、私も、まさにそこのところを非常に心配をしております。
日本の物づくりを支えていらっしゃるのは中小、下請、孫請の事業者の皆さんであったり、あるいは個人のすご腕の職人さんだったりするわけです。この経済安保法制が導入されますと、様々な、体力のある大企業はともかくとして、下請、孫請、小規模事業者の現場に過重な負担を押しつけることがあってはならない。そのことによって、例えばイノベーションが阻害されるですとか投資が抑制されるということになってしまってはこれは本末転倒なわけですから、サプライチェーンの調査というものは、しっかりとこれは、特に必要な限度、やはりこれも枠をはめていく必要があるんだろうというふうに私も考えています。
このサプライチェーンに関しては、もう一個論点がございます。罰則についての議論であります。
他党からの提案ですと、罰則をより強めるべきだというふうな議論もこの間ございましたけれども、罰則を設けるかどうか、その副作用、作用というものに関してもしっかり議論していかなければいけないと思います。
調査の求めに応じなかった事業者に対する罰則、修正案でのお考えもあるかと思いますけれども、罰則は必要と考えているか考えていないか、提案者のお考えを教えてください。
○本庄委員 本修正案では、基本理念として、経済活動に対する規制を必要最小限のものにするというふうに記載をしております。そして、事業者及び国民に対し十分な説明を行い、その理解を得る、これも規定をしております。
こういった基本理念の下では、サプライチェーンの調査は非常に広範にわたりますので、必要最小限という意味で、罰則等々は必要がないというふうに考えております。
○山岸委員 罰則は必要ない、明快な御答弁をいただきました。
今、本庄委員からも話があったように、基本理念でこういうふうに書いているから罰則は必要ない、そういう説明でしたけれども、私はやはりこういう考え方が必要なんだろうというふうに思います。どうしても、基本理念がないと、今後制度を運用していくに際して、それが、際限なくとまでは申しませんけれども、非常に広範にわたっていく可能性がある。そういったことをしっかり、枠をはめて、国民、経済、企業活動への過度な抑制ということがないようにしていく、その意味でも、やはり基本理念を立てて、その中で具体的な基準を考えていく。
だから、今、本庄委員からは、基本理念がこうなので、うちは罰則は必要ないと考えています、こういう明快な答弁があったわけですので、こういうふうなやはり考え方の整理というものが必要になってくるのではないのかなと改めて考えるところでございます。
続けて、この法案、今日この後どういうふうな展開になるのかなと、予断を許さないところでありますけれども、国会が、この法案が仮に成立をした後どういうふうに関わっていくべきなのか。これはもちろん我々議員一人一人が自問し行動していくべきテーマでありますけれども、法律の中で明確に国会の関与というものを位置づけていくということも一つの方法なんだろうというふうに思います。
この修正案においては、第八十六条になりますけれども、政府による国会への報告というものを義務づけております。
本庄委員にお伺いいたします。この国会報告の義務づけ、この趣旨は何でしょうか。さらに、具体的にどういう内容を報告するということを想定しているんでしょうか。
○本庄委員 この法案では、政省令の制定以外にも、サプライチェーン調査における報告又は資料の提出、あるいは協議会の設置や指定基金の指定、こういった政府の運用に任されているという事項が数多くあります。あるいは、これまでもるる議論になってきました、政省令事項、基本方針、基本指針等々、これから決まる内容が非常に多い。さらには、自由と規制、経済と安全保障という非常に難しいバランスも取っていかなければいけない、そういう法案です。
したがいまして、何回か大臣からも答弁がありましたけれども、全てではない、未完だということを前提に、やはりこれは国会への報告ということが必要ではないかというふうに考えています。政府によるこの法律の運用状況の報告、それから検証、そして施行状況ということです。
法律の中に、基金については報告義務があります。これは予算と関わるからということだと理解をしておりますが、それ以外の施行状況についても定期的な報告そして検証が必要だというふうに考えております。
以上です。
○山岸委員 ありがとうございます。
続けて、個別のテーマになりますけれども、特定重要設備に関してお聞きしたいというふうに思います。
特定重要設備を導入した後、勧告及び命令という制度がございますけれども、ここの点にどういった問題があると認識をしておられるのか、また、特定社会基盤事業者に対して、やはりこれは国としてもできる限りの援助をすべきではないかと考えますけれども、提案者のお考えを教えてください。
○本庄委員 特定社会基盤事業者にとって、特定重要設備の導入等、これは大きな負担になります。一旦導入等を行うことができることとなった後に、国際情勢の変化等々によって事後的に導入に関わる計画の変更を求められる、こういう場合があり得るわけですが、非常に不測のコストを強いられる可能性があるということです。
そこで、我が党の修正案においては、この勧告、命令は、一旦導入等を行うことができることになった後、特定重要設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれが著しく大きいという場合に限定をしようというふうに修正をさせていただいております。
また、法案審議の中で、特定社会基盤事業者については、その事業を規律している各業法で役務の安定的な提供を行う責任を負っており、そのため、特定社会基盤事業者への補償を規定しない、そういう説明もありましたが、この特定社会基盤事業者には中小企業も含まれていて、少なくとも、相談窓口の設置など、そういった支援は必要ではないかというふうに考えています。
そこで、修正案においては、主務大臣の責務として、情報提供にとどまらずに、相談や助言その他の援助を行うというふうに規定をさせていただいております。
以上です。
○山岸委員 著しく大きいというふうな表現を書き込んでいくんだ、こういう話がありました。先ほども、特に必要なとか、そういうふうな表現がございまして、ひょっとしたら、お聞きの国民の皆さんは、細かい言葉の修正だなというふうに見られるかも分かりません。しかし、特にとか著しく、これは法律用語でございますから、法律にしっかり書いていくということが政府に対して一つの大きな制約になっていくんだということを強調したいと思います。
最後の質問になります。
特許出願の非公開に係る手続に関して、これは我が党櫻井周議員からも質疑がありましたけれども、この修正案にも盛り込まれております。どういった問題があるとお考えでしょうか。
○本庄委員 特許出願の非公開、これにつきましては、特許出願に関する手続とともに保全審査に関する手続が行われますけれども、特許出願人等の手続が煩雑になるおそれがあるということです。
そこで、特許出願人等がこの出願の非公開に関して内閣総理大臣に対して報告、提出その他の手続を行う場合に、その手続を円滑に行うことができるよう検討を加えて、必要な法制上の措置を講ずるべきだというふうに考えておりまして、その旨規定をさせていただいております。
○山岸委員 本庄委員、ありがとうございました。
この間、議論をしてまいりましたように、基本理念という大枠を定めて、個別のテーマについての疑問点に応えていく、この法案審議を通じて明らかになった問題点を補っていく修正案だということを是非多くの皆さんに御理解いただきまして、御賛同をお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
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【大石あきこ議員への答弁】
○大石委員 れいわ新選組の大石あきこです。
経済安全保障法案に関して御質問したいと思います。
この法案のことで質疑してきましたし、質疑も聞いてきました。改めて、この法案は、経済安全保障という名で国民の期待を錯覚でだますものだと確信しております。
まず、今、日本政府がやるべきことは、日本政府自身の失策によって他国の輸入に依存する経済をつくり上げてしまった、この大きな国民の危機を見据えることです。
そのような観点から見たときに、この法案は、国民にとって使えないものですし、使えないことはおろか、アメリカの中国封じ込め戦略に乗るものであり、対外的に懸念国、同志国に世界を分けて、無駄に国際的な緊張を高めることにつながります。
そうではなくて、今既に他国への輸入に依存しているこの国において、その状況を見据え、まず、全方位的平和外交によって東アジアの緊張緩和を追求し、また、底辺への競争と言われる激しいグローバル競争、これはやめようと働きかける立場に立ち、そして、今この国に生きる人々、国民に必要なものは何なのか、その供給と生産体制をどう回復していくのかを真面目に議論して、シフトしていく、このことこそが、国家及び国民の安全というこの法案の概要の言葉、これに資すると私は考えます。
さらに、この法案が、対外的にも緊張を高めてマイナスだと申し上げましたけれども、国内的にも非常に問題があって、経済戦争を大義名分に、国民や労働者の自由や権利を侵害するものだと見ております。
この法案では、前回の連合審査で萩生田大臣が言ったような、コロナの経験を繰り返さないためにマスクを自国で生産できるようにするということは少なくともできない、外部から行われる行為のおそれが加わらないとできない。そのことは先ほど国民民主の方も改めて御質問されましたし、先日からもそのことは私も含め何度か議論になっていました。
そういう、国民民主党の方も先ほど質問されていて、しっかりやっていくみたいな、で、しっかりお願いしたいみたいなやり取りになっているけれども、三週間このやり取りをしていて、しっかりやらないんだから、やりそうにないじゃないですか。だからやはり、しっかりお願いしたい。今回は入口で、次、やるんだよねじゃなくて、これはやらないわけですから、やはり反対するべきではないかなと思います。
小林大臣は、こういった問いに対して、この法案だけで全てフォローできるわけではないとおっしゃったと思うんですね。質問なんですけれども、そうであれば、この法案だけではなく、今この国民の危機を見据えれば、自国でマスクを生産できないといけない、萩生田大臣もおっしゃいました、そういった別の法案もすぐさま必要だと思うんですけれども、小林大臣はいかがですか。
○小林国務大臣 お答えいたします。
そもそもこの法案は、以前にもお答えしましたけれども、特定国を念頭に置いたものではありません。米国の戦略に我が国を組み込むようなものでもありません。諸外国を同志国と懸念国に分けるものでもありません。実際に条文を読んでいただければ分かりますが、御指摘は全く当たらないと思います。
ほかの法整備という点につきましては、前から申し上げているとおり、法整備をしなくても対応しなければならないという項目というのはたくさんあるわけでございます。この四項目は、分野横断的に喫緊の法整備が必要だということでやっていますけれども、その他の点についても、いかなる状況になっても、委員御指摘のとおり、国民の皆様の命と暮らしを守り切れる体制をつくれるように努力していきたいと考えます。
○大石委員 いや、守れていないから、マスクだって足りなかったから、そういう国民の、今既にあって、もう既に遅れている危機に対応する気がないんじゃないんですかって、そういう質問だったんです。でも、ちょっと答えが違うところだったり、長くなるので。
立憲の修正案に関して御質問したいと思います。
立憲の修正案に関して、特許出願の非公開に対する経済的補償の問題に関して、委員からかなり鋭く追及されてきましたが、それに対して修正ができているのでしょうか。
○本庄委員 大石委員、御質問ありがとうございます。
特許出願の非公開についてですけれども、特許に対する経済的補償の問題も含めまして様々な論点がまだ残っているということは、よく承知をしております。
法案に規定されている事項が必ずしも十分ではないということもありまして、法案成立後に閣議決定される基本指針の内容あるいは具体的な予算措置、こういったことも今後の重要課題の一つだというふうに認識をしております。
その上で、私どもの修正案ですけれども、まずは、特許出願の非公開の手続において、特許出願人等の便宜を図る、そのために、出願人等が内閣総理大臣に対して報告、提出その他の手続を行う場合において、手続を円滑に行うことができるよう検討を加えて、必要な法制上の措置を講ずる、こういう条項を設けさせていただいております。
以上です。
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【討論】
○上野委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党・無所属の本庄知史です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案について、我が会派提出の修正案に賛成、政府原案に、その問題点を指摘しつつ、賛成の立場から討論をいたします。
私たち立憲民主党は、経済安全保障の重要性と必要性を十分に認識をした上で、今回の法案審議に当たっては、自由で開かれた経済活動、民間活力と経済成長、経済安全保障の実効性について、いかにそのバランスを図るかという観点から、経済界や有識者の意見も聞きながら、丁寧に論点を整理し、問題点を指摘をし、そして政府答弁で確認をしてまいりました。
確かに、経済安全保障という新しい多岐にわたる概念を法制化することは容易な作業ではなく、政府原案には幾つもの課題も残っています。
例えば、経済安全保障の定義が法文上明示されていないこと、基本理念といった法律に通底するいわば思想がないこと、規制措置が必要最小限ではなく合理的に必要と認められる限度とされているなど政府の権限や裁量が過大になるおそれがあること、制度の重要事項が基本方針や基本指針の中で今後閣議決定されるとされている上、具体的な内容は更に政令、主務省令に委ねられていること、国会報告など事後的な検証の仕組みが不十分であることなどです。
立憲民主党が提出した修正案は、こうした政府案の問題点を補完し、補強するものです。国益、とりわけ国家及び国民の安全を経済面から確保する経済安全保障の確立に大きく資するとともに、自由で開かれた経済活動をしっかりと守るものであると確信をしています。是非、委員各位の御賛同をお願い申し上げたいというふうに思います。
その上で、国際情勢や社会経済構造が急激に変化する中、経済安全保障の確保は我が国にとって待ったなしの課題です。
るる申し述べたとおり、政府原案には懸念点、足らざる点がありますが、これまでの本委員会審議の中で、私たち立憲民主党の指摘や提案を含め、質疑と答弁を丁寧に積み上げてまいりました。これらの議論あるいは附帯決議を踏まえ、今後の参議院審議、法案成立後の運用において、政府が適切に対応することを期待し、私たち立憲民主党は政府原案に賛成することといたしました。
なお、日本維新の会提出法案、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案につきましては、罰則の強化など経済活動の自由を過度に阻害するおそれがあるなど、私たちの基本理念とは相反することから、反対をいたします。
以上で私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)