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4/12 内閣委員会(次世代医療基盤法改正案)

本庄さとしYouTube

質問要旨

1.法施行後5年間の評価について
2.司令塔機能とグランドデザインについて
3.違反・不正行為、不適切事案について
4.国民への周知、オプトアウト通知の方法について
5.仮名加工医療情報の作成事業者と利用事業者の認定について
6.PMDA等への仮名加工医療情報の提供について
7.NDB、介護DB等との連結について
8.医療情報の利活用推進のための更なる方策について
9.マイナンバーカードと健康保険証の一体化との関係について

○答弁要求 高市大臣
○配付資料 なし
○パネル  なし

議事録

○本庄委員 立憲民主党の私が本庄知史です。
 千葉八区、柏と我孫子の選出です。よろしくお願いします。
 今日は、次世代医療基盤法、通称医療ビッグデータ法ということで質疑をさせていただきます。
 まず、法施行後五年間の評価についてお伺いをしたいんですけれども、ビッグデータの利活用を含む医療のデジタル化ということはもちろん急務ですが、二〇一八年五月の法施行から五年間、率直に言って、利活用は全く進んでいないと言ってもいいぐらい進んでいないというふうに私は思います。
 例えば、医療情報を提供する医療機関、自治体、協力医療情報取扱事業者はまだ百八件ですね。何十万とある医療機関のうちのまだ百件ほどしか情報提供に協力をしていない。そして、集まっている情報も二百六十万人分ですね、一億二千万人の国民に対して。まだまだ不十分、ほぼゼロに近いと言っても過言ではないと思います。アウトプットの方も、認定事業による利活用の実績二十一件ということで、評価もできないぐらいまだ何も動いていないと言ってもいいんじゃないかと思います。
 そういう中で、国民の皆さん、患者の皆さんから見ると、どういう具体的な成果がこの情報提供によって得られるのか、あるいは社会に還元があるのか、こういったことがやはり全く見えていない、そもそも制度を知らない人も多い、こういう状況だと思うんですが、この五年間、大臣から見て成果あるいは還元と言えるようなものがもし何かあれば、是非ここの場でPRしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高市国務大臣 平成三十年五月の施行後の実績については、もう既に今委員がおっしゃっていただいたとおりでございます。
 具体的な利活用の成果としましては、新規のプロジェクトを正式に開始する前に実現可能性を調査するために行われるいわゆるフィージビリティースタディーの用途が多いんですけれども、乳がんや心不全などの個別の疾患を対象とした治療実態を把握するための研究に使用された事例や、学術論文の公表につながった事例もございます。
 累計二十一件という利用実績数というのは、決して多い数字ではございません。
 そういったことから、制度の見直しに向けた検討会では、現行の匿名加工医療情報では、希少疾患についての研究、データに基づく精緻な研究、また薬事申請のためのデータとしての活用などが難しいといった課題が指摘されました。そういったことから、今回の制度改正、こういった課題を解消することを目指したものでございます。

○本庄委員 法改正の中身はおっしゃるとおりですが、いろいろとまだ足らざるところが多いのかなと思いますので、幾つか聞いていきたいと思いますが、まず、推進の体制についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 医療データ政策の司令塔機能あるいはグランドデザインということについてなんですが、関係省庁や、関連法令とか、あとガイドライン、これが多数あるわけですね。厚生労働省の作成しているガイドラインもあれば、経産省、総務省のものもある、内閣府のものもある、それぞれ根拠となっている法律がある、そういう中でパッチワーク的に医療データ政策というのが推進されているんじゃないかというふうに指摘をしている専門家あるいは関係者も多いわけですね。
 こういった、グランドデザインが見えない、あるいは全体像が見えない、政府としての医療データ政策の推進についてですね、そういった意見について、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

○高市国務大臣 確かにおっしゃるとおり、今回御審議をいただく法律案に関しましても、内閣府の方から厚生労働省、経済産業省など、文科省もそうでございますけれども、担当する役所は多うございます。そんな中で、内閣府が総合調整をさせていただいているということでございます。

○本庄委員 総合調整がホッチキスでは困るわけで、やはりリーダーシップを発揮していただく必要があるんだと思うんです。
 具体的にちょっと申し上げたいんですが、今、内閣には、健康・医療戦略担当、高市大臣が副本部長を務めている健康・医療戦略推進本部というのがありますね。この戦略本部の下には健康・医療データ利活用基盤協議会というものがあって、今回の法案の検討に当たってもいろいろ議論がなされたと承知をしております。一方で、去年の十月ですけれども、新たに医療DX推進本部というものが設置されておりまして、これは副本部長が厚労大臣とデジタル大臣で、高市大臣は入っていないんですね。事務は、健康・医療の方は内閣府、DXは内閣官房ということで、これは縦割り行政の典型みたいなことになっているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○高市国務大臣 今委員おっしゃっていただいた、昨年の十月に立ち上がった医療DX推進本部、これは岸田内閣総理大臣が本部長でございますが、全国医療情報プラットフォームの創設ですとか電子カルテ情報の標準化などについて取り組んでいくということでございます。
 推進本部の検討においては、当面は、診療現場における情報の連携など、いわゆる一次利用に重点を置いた取組が行われると承知しています。しかしながら、その本部でいろいろ検討されて、診療現場でDXが進むことによって、また医療研究のための医療情報の収集ですとか活用も円滑化されるという関係性にありますから、私も連携はしていかなければなりません。
 総理が本部長を務めておられる本部の方は、臨時委員として私も呼んでいただくことは可能でございますので、もしも二次利用について議論をするということになったら、しっかりと出かけていきたいと思っております。
 もう一つ、岸田総理が本部長で私が副本部長を務める健康・医療戦略推進本部ですが、これは健康・医療戦略の作成、実施の推進、また先端的研究開発や新産業創出に関する施策の企画立案に取り組むものであって、必ずしも医療のデジタル化を目的としたものではございません。
 いずれにしましても、しっかりと連携をしながら、そしてまた臨時委員として呼ばれていったときにはしっかりと発言をして、一貫性を持たせてまいりたいと考えております。

○本庄委員 役割というか、扱っている中身はおっしゃるとおりですが、いずれも総理が本部長なんですよね。非常に大きな構えの本部で、後ろにいる事務方も併任されていたり、結局同じ人がやっているというような状況じゃないかと思うんです。
 高市大臣が副本部長をやられている方の健康・医療戦略本部、ここは実は全大臣が入っているんですよね。だから、厚労大臣もデジタルも入っているわけですよ。その更に各論として別途DXができているということで、これはやはり一つの大きな本部に集約をして、そこの下に、それぞれの、一次利用だとかビッグデータだとか、分科会的に設置をして、一体的に議論をしていく、そういう体制が必要じゃないですかと私は申し上げているんですけれども、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 こればかりは、内閣総理大臣が本部長でございますので、私の方から私見を申し上げたり、本部を合体してほしいとか、こういったことを申し上げる立場にはございません。それぞれの本部の中での自分の役割をしっかりと果たしてまいります。

○本庄委員 是非、統合的な戦略本部、推進体制をつくって、政府一丸となって、一本でやっていただきたいなということを付言させていただきます。
 次の質問ですが、法令違反あるいは不正行為、不適切事案についてお伺いをしたいと思うんです。
 現在の認定匿名加工医療情報作成事業者は三つあります。そのうちの一つ、一般社団法人ライフデータイニシアティブと、その下の情報の取扱受託事業者、NTTデータ。昨年九月、患者本人への連絡、オプトアウト通知なしにデータベース化してしまったという法令違反、不適切事案があったということで、これは報道にもなっているし、報告もあったというふうに思います。
 事務方によれば、ここ五年間でこういった法令違反、不適切事案はこの一件だけだということですが、そのことの確認と、あと、申告、報告があったのはこの一件だということだとしても、それ以外にないということは言えないと思うんですが、政府として実態をどのような体制で把握をされているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

○高市国務大臣 まず、一件だけだったのかどうかということですが、この事案が発生したときに、私も、これは大変なことだと思いました。
 まずは、認定事業者において不適切な取扱いがあったといった事案に関しましては、厳正な指導を行って、そして徹底的な原因究明をし、そしてまた医療情報取得の際の確認機能の強化、役職員に対する教育、それから、問題を把握してからの報告が非常に遅かったということ、これはとても大きな問題だと思いましたので、報告の迅速化ということで、再発防止策を講じさせました。
 一件だけなのかどうかということで、他の認定事業者に対しても、同様の事案が発生するおそれがないかなど確認も行いましたし、制度の信頼性の再確認、これはしっかりとやったつもりでございます。

○本庄委員 今回、こういう情報漏えいがあると報告しなきゃいけないということが法律上も決まっているわけですが、やはり私は、まず一つは、もっと定期的に事業者から業務に関わる状況の報告を、四半期ごと、あるいは半期ごと、サイクルはいろいろあると思うんですが、させるべきではないかというふうに思うんですね。
 今、まだ数も少ないので不祥事も少ないですが、これから本格稼働していくといろいろなことが起きてくるというふうに思いますので、事が起きたときだけ報告するということではなくて、日常的な報告義務をしっかり課していくべきじゃないかと思いますし、それから、政府には立入検査の権限なんかも認められていますが、より積極的に抜き打ち的な検査をしていくというようなことも必要ではないかと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

○高市国務大臣 不適切な事案が再度生じないということのために、厳格な罰則の適用というのもありますけれども、それで担保するだけではなくて、厳正な審査による事業者の認定、それから継続的な監督、また、被害の拡大を速やかに防ぐための迅速な報告体制の整備が非常に大事だと思っております。
 認定事業者に対する実地検査、これを行います。有識者とともに、適切な運用がされているかという確認を行うなど、継続的な監督に努めてまいりたいと思っておりますし、今後、必要に応じて、ガイドラインなどの見直しも含めて、認定事業者が適切な事業運営を行えるように取り組んでまいります。

○本庄委員 先ほどの与党質問からもありました、ちょっと使い勝手が悪い、規制がきつ過ぎるという声もある一方で、これからより広範に活用していくとなると、チェック体制は相当厳格にしていかないといけない部分、両面あると思うので、是非、バランスの取れた、そして実効性のある取組をお願いしたいというふうに思います。
 次の質問で、国民への周知ということなんですが、今、百八件の医療機関しか情報提供をしていませんけれども、したがって、私もいまだ現物は見たことがありませんが、情報提供しているお医者さんにかかると、オプトアウト、つまり、こういうことで情報が行きますよという紙が渡されたりするということなんですけれども、これは断れば情報が行かないわけですが、断る人はほぼいない、一%以下だということなんですね、部会での話だと政府からそういう数字も出たんです。
 ほぼみんなが受け入れているという状況ですが、理解をして、よしとして拒否をしていないのかと言われれば、やはりそうじゃないと私は思うんですね、この数字だけ見ると。多分、何も知らないか、余り深く考えずにそのままになっていて、結果、拒否していないという状況になっているだけだという可能性は極めて高いと思うんですね。
 そこで、国民あるいは患者への不断の情報提供あるいは周知活動が重要だと思うんですが、先ほどから答弁ありましたけれども、これまでやってきていますというお話はありましたが、これまでやってきてこの状況ですので、やはり、やり方、考え方を変えた広報や周知活動をしないといけないと思うんですけれども、そういった問題意識について、大臣、どのようにお考えになりますか。

○高市国務大臣 次世代医療基盤法ですが、これは個人情報保護法の特例法でございます。ですから、主務大臣の認定を受けた事業者に対する場合に限り、オプトアウト手続によって医療機関などから医療情報を提供するということを認めております。
 この場合のオプトアウトなんですけれども、例えばウェブページに掲載するとか、単に患者本人が知り得る状態に置くということだけではなくて、本人が認識する機会の確保の観点から、あらかじめ本人に対して通知するということにいたしております。
 その通知に加えて、やはり、委員おっしゃるように、制度の趣旨とか目的についてもっと広く国民の皆様に理解していただくことが重要だと考えております。これまでの広報活動についても、先ほど中野政務官も申し上げましたけれども、更に国民の皆様の理解が深まるような、様々な普及啓発の取組ということに知恵を絞ってまいりたいと思います。

○本庄委員 いざ情報提供をしている医療機関にかかって、そこで初めて知って、初めてそこで判断を迫られるということでは、なかなか一般の方々は対応が難しいと思うので、平素から、そういう仕組みがあってそういう病院があるんだよということをやはり知っていただく、そういう努力がもっともっと必要だというふうに思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
 そして、法案の中身の方へ入っていきたいんですが、先ほど来作成事業者の話が出ていましたが、利用事業者の方について少しお伺いしたいんです。
 仮名加工医療情報の利用事業者、これを、今後は、匿名と違って仮名なので、より機微な情報なので、認定した者にしか利用は認めない、こういうことになるわけで、ここが厳格化の一番肝だと思うんです。この認定基準、これから作成ということですが、どういった考え方でこの認定基準を作成されるのか。そして、一つ具体的には、例えば外国法人なんかはどういう扱いになっていくのか。その辺りの基本的なお考えをお聞かせいただきたいんです。

○高市国務大臣 利用事業者の認定に限って申し上げますけれども、利用事業者は顕名情報は扱わず、また、自ら仮名加工は行わないものではございますけれども、この度の仮名加工情報は、他の情報と照合することによって個人の特定が可能であるということ、それから、原則として第三者提供が禁止されるものであるということを踏まえますと、やはり、従業員の方々の教育、それから不正アクセスの防止策の実施など、安全管理措置を適切に講じる体制が確保されているということなどを確認した上で認定を行うということになると考えております。
 海外の企業でございますが、これも、次世代医療基盤法の目的の実現に必要な範囲内において、個人の権利利益の適正な保護を図った上で、仮名加工医療情報を利用して研究開発を行うことを否定するものではございません。ただ、本法の趣旨や目的に反した不適切な仮名加工医療情報の利用ですとか第三者への提供が行われることがあってはなりませんので、この利活用の認定審査においては、仮名加工医療情報を利用して研究開発を行う事業を適切かつ確実に行うことができるか否かについてしっかりと審査を行います。それから、当該企業が所在する国の個人情報の保護に関する制度についても、適切に研究開発を行う能力と併せて考慮するつもりでございます。

○本庄委員 海外の企業だから駄目だとはもちろん私は思いませんし、不当な差別はよくないと思いますが、やはり、経済安全保障というか、情報安全保障の観点も海外企業については必要ではないのかなというふうに思いますので、国内の企業と全く同じ見方でいいのかどうか、その辺りは是非、これから認定基準を作成されるに当たって御検討いただきたいなというふうに思います。
 次に、公的データベースの連結の方に移りたいと思うんです。
 先ほど来出ていますNDB、ナショナルデータベース、レセプト情報のデータベースですね、ここと連結させるということなんですが、ここで連結する情報は、今回肝煎りとなっている仮名加工情報は除外をされていて、従来の匿名加工医療情報、つまり、役に立たないとは言わないけれども、十分じゃないと言われている情報のみが連結をされるということだと私は承知をしておりますが、それで連結の実効性が上がるのかどうか。そして、なぜ、より精緻な今回の仮名加工医療情報を外すという判断になっているのか。そこのところを教えていただけますか。

○高市国務大臣 NDBなどにおいて、研究者に提供されるデータは匿名データに限られておりますことから、連結後の匿名性を維持するために、改正法案においては、匿名加工医療情報に限ってNDBとの連結を可能にするということにいたしております。
 この匿名加工医療情報をNDBなどの匿名データと連結して利用することによって、例えば、次世代医療基盤法に基づいて、急性期病院などから収集された様々な検査データなどを含む詳細な医療情報と、NDBから得られる急性期病院への入院前後の診察所などにおける診療行為の内容をひもづけて解析できますので、入院前や退院後の経過なども含めた医療研究が可能となるということなど、匿名データ同士であっても研究の幅は広がると考えております。

○本庄委員 済みません、併せてお聞きしたのが、今回、仮名加工を外している、外さなければいけないのがどういう理由なのかというのを、私、いま一つよく理解できていないんです。

○高市国務大臣 今回、先ほど申し上げたかと思うんですけれども、何といっても連結後の匿名性を確保するという、これは個人情報保護法の特例法でございますので、そこのところは重視をさせていただいたということでございます。

○本庄委員 これは今後の運用の中でどのくらい実効性が上がるかを見ながらの判断だと思いますけれども、より利活用を進めていくためには、そういったことも視野に置いておく必要があるのではないかというふうに思っておりますので、引き続き御検討いただければと思います。
 それから、今回のこの連結に当たって、新たなID番号を振り、そして連結させていけるようにしていく、違うデータベース同士ですから、ということだと思うんですが、どのぐらいの所要時間を大体見込んでいらっしゃるんでしょうか。一年、五年、十年、どのくらいたてば、この連結ということが実際の研究者によって利用開始の状態になるというふうに、見通しとしてどのぐらい、どのようなお考えでしょうか。

○高市国務大臣 この連結については、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するということといたしております。

○本庄委員 施行はそうなんですが、実際に使える状況。
 今でも、このNDBの情報というのは、申請してから出てくるのが非常に遅いと言われているんですね。したがって、法律は成立をし、施行したものの、実際にはなかなか使えない、連結がまだですまだですといって一年も二年もたっていくということが起きやしないかということでお伺いをしているんですが、いかがですか。

○高市国務大臣 データベース間の匿名データの連結提供については、既に、NDBと介護保険総合データサービス、それからDPCデータベースとの間で開始はしております。だから、そこでの仕組みを基礎として、次世代医療基盤法のデータとNDBなどとの連結提供についても具体化を進めることになります。

 少なくとも、改正法の施行までの間に、このシステムテストを含めて、必要な準備は進めてまいります。
○本庄委員 速やかにということで、よろしくお願い申し上げます。
 この関連で、今、厚労省関連の公的なデータベースの連結ということで、NDB、介護DB、DPCデータが挙がっていますが、民間のデータベースというのももちろんたくさんあるわけですが、そこもある種、宝の山と言えるとは思うんですけれども、こういったところとの連結というのは今後、念頭に置いていらっしゃるんでしょうか、政府として。いかがでしょう。

○高市国務大臣 まずスタートは、公的なデータベースからということで考えております。

○本庄委員 はい、分かりました。
 あるものは最大限活用していくということは、私は大事じゃないかなというふうに思いますが、公的なデータベースの活用の前に、まず政府内の体制を是非一本化して、強力な司令塔機能をつくっていただきたいと思います。
 あと、残された時間で、利活用促進のための更なる方策ということで、この間も、与党議員のお二人からも少し出ていましたけれども、今回、法改正で、広報をするとか啓発するとか、あるいは医療機関側にも努力義務、責務ということで情報提供に努めてくださいということなんですが、それでは情報提供をしようとはならないと思うんですね。メリットもないし、面倒だし、下手すればお金もかかる、手間もかかるということで、かけ声だけではやはり前に進まないと思うんですね。目に見える具体的なメリットが、情報提供、つまり医療機関側にないと、私は、今の百八件、二百六十万人というデータの前提が広がらないと思います。
 そこでお伺いしたいんですが、事業者が経費を負担するというような、ごくごく限られた話では、私は不十分だと思います。例えば、システム改修などというのに公的な補助、あるいは何らかの診療報酬の点数上のメリット、あるいは研究成果の優先的な利用、そういった、医療機関側から見た、具体的で目に見えるメリットが私は必要だというふうに思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

○高市国務大臣 現行法に基づく基本方針、閣議決定されたものにおきましては、協力事業者である医療機関などから認定匿名加工医療情報作成事業者に対しては、医療情報の提供に要する費用を超えた情報の対価となるような支払いは行わないことを基本とするということを求めておりますので、医療情報の対価が支払われるということは想定しておりません。
 ただ、認定事業者が医療情報の提供に要する費用を負担するということは可能ですので、例えば、認定作成事業者が、協力いただける医療機関に対して、質の高い医療情報を継続的、安定的に提供していただくための電子カルテのバックアップサービスなどを提供するということによって、医療情報を提供するメリットを感じていただく、こういった取組も行われているということでございます。
 今後、電子カルテの標準化についても医療DX推進本部が立ち上がって取り組まれておりますし、様々状況は変わっていくと思います。医療DXの取組によって電子カルテ情報の標準化などが進みますと、また研究開発という二次利用のための医療ビッグデータの収集や活用も加速されていくという関係性にもありますので、DXの進展にも期待をしながら、それぞれ負担はできるだけ減らしていく。そしてまた、医療機関側には、基本方針を逸脱することはできませんけれども、新たにこのシステムを入れるような場合、ここに対してしっかりと応援をしていくということになるかと思っております。

○本庄委員 私がお伺いしたのは、事業者が何か対価を払うとかそういうことではなくて、もっと公的な支援が必要じゃないかということを申し上げているんですね。メリットのない病院側と自己負担させられる事業者という関係が続いている限りは、今の百八件、二百六十万人というこの数字が大きく変わるということは、私はとても期待できないんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非これからも検討をお願いしたいと思います。
 最後に、今大臣もちょっと言及されました電子カルテの標準化、これはかなり重要だと思いますし、関係者の専門家からもそういう声が多数出ていて、結局、レセプト情報がなぜ使いやすいかというと、標準化されているからだと。一方、カルテは標準化が遅れていて、下手したらお医者さん任せになっている。ここのところをやはりしっかり標準化していくことが、今進めているビッグデータの普及促進には極めて重要だと思います。
 ただ、先ほど来、大臣のお話を聞くと、この話は恐らく大臣が入っていない医療DX推進本部でやっていて、今大臣が取り組まれている方の本部の直接の所掌の外になっているんじゃないかと思うのですが、この一点だけ見ても、やはりその二つの本部は非常に関係性を持っていると思うので、是非、政府一体で、厚労省も含めて、強力に推進していただきたいと思いますが、最後に御答弁をお願いします。

○高市国務大臣 電子カルテ情報の標準化が進むということで、あちらの、DXの本部の方では一次利用を念頭に議論が進んでいますけれども、研究開発という二次利用のための医療ビッグデータの収集、活用も当然加速されるという関係性もありますので、医療DX推進本部の取組、これに呼ばれましたら、しっかりと出かけていって主張してまいりたいと考えております。

○本庄委員 是非、押しかけて、そしてリーダーシップを発揮してください。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。