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3/27 内閣委員会(重要経済安保情報保護・活用法案、経済安全保障推進法改正案)①

本庄さとしYouTube
委員会提出資料PDF

質問要旨

1 特定秘密保護法の課題と本法案への適用

2 重要経済安保情報と特定秘密の定義と範囲、整合性

3 適性評価

4 目的外利用、不利益取扱いの禁止

5 政府部内のチェック体制

6 国会の関与

7 施行までの検討事項等

8 基幹インフラへの港湾の追加(経済安保推進法改正)

※その他、前の質疑者の質疑内容に関連して質問する。

〇要求大臣等  高市大臣、官房副長官(3関連)、政府参考人
〇配付資料   あり
〇パネル    なし

議事録

○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、今日は官房副長官に来ていただいておりますので、先に適性評価の話から始めたいと思います。
 国務大臣等に対する適性評価についてです。
 岸田総理は、三月十九日の本会議で、現行の特定秘密保護法において、国務大臣等は特定秘密の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされていることから、その任命の際に必要な考慮がなされる、本法案においても、特定秘密保護法と同様に、国務大臣等については、その任命の際に必要な考慮がなされるとの考えに基づき、適性評価の対象外としているというのが総理の答弁です。
 そこで、官房副長官にお伺いしたいんですが、特定秘密や重要経済安保情報を取り扱うために国務大臣等が任命の際になされる必要な考慮というのはどういうものなんでしょうか。例示で結構ですので、具体的に御説明ください。

○村井内閣官房副長官 先日の衆議院本会議で岸田総理から答弁したとおり、国務大臣等については、その職責の重大性に鑑み、内閣総理大臣がその任命を行うに当たり必要な考慮がなされることとなりますが、具体的な考慮の内容については、国務大臣等の人事に関することであるため、お答えを差し控えさせていただきます。

○本庄委員 それはおかしな答弁ですね。私は、人事の評価の全般についてお伺いしているわけではありません。特定秘密や重要経済安保情報に携わるために必要とされている考慮とは何ですかと、私は限定してお伺いをしています。
 一般職の公務員であれば、具体的に七項目、適性評価を受けるわけですよね。政務は、国務大臣等はこれに相当する調査を受けているんですか。調べを受けているんですか。お答えください。

○村井内閣官房副長官 改めて、必要な考慮の具体的な内容についてお尋ねをいただきました。
 あえて申し上げれば、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされているというふうに承知をしております。そのため、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認を含めて必要な考慮がなされるものと考えております。
 それ以上の具体的な考慮の内容については、繰り返しで大変恐縮ですけれども、国務大臣等の人事に関することであるため、お答えを差し控えさせていただきます。

○本庄委員 では、教えていただきたいんですが、一般の職員であれば、七項目ということで、家族の個人情報、借金などの経済状況、飲酒の節度、こういったことも具体的に調べられるわけですが、こういうことも含まれているということでよろしいですか。

○村井内閣官房副長官 改めて、七項目に相当する事項を調査しているのかといったような御質問をいただきました。
 まず、やや繰り返しでありますけれども、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされていることと承知をしております。そのため、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認を含めて必要な考慮がなされるものと考えております。
 それ以上の具体的な考慮の内容については、御指摘の七項目に相当する事項を調査しているかどうかも含めて、繰り返しになりますけれども、国務大臣等の人事に関することであるため、大変恐縮ですけれども、お答えを差し控えさせていただきます。

○本庄委員 岸田内閣で逮捕されました柿沢未途前法務副大臣やあるいは秋本真利元外務大臣政務官も、この必要な考慮ということを経て任命されているという理解でいいですか。

○村井内閣官房副長官 個別具体的な人事について私の立場から何か申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされており、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認も含めて必要な考慮がなされているというふうに承知をしているところでございます。

○本庄委員 法務副大臣も外務政務官も、特定秘密にも深く関わるような立場、役職ですよ。現職で逮捕されている。本当に必要な考慮は機能しているんですかね、官房副長官。私は、閣僚も含めて適性評価の対象にしていくべきだというふうに思っております。
 そこで、政府参考人にお伺いをしたいんですが、政府の有識者会議の中でも、出席者の中から、一人から、アメリカにあって日本にない制度として、日本には大臣、副大臣、大臣政務官等に対するセキュリティークリアランスがないことが挙げられる、こういう発言があったと、これは議事要旨に載っております。米国のセキュリティークリアランス制度では閣僚の扱いはどうなっていますか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。
 まず、他国の状況ということでございますけれども、他国の制度あるいはその運用でございますので、責任を持って詳細をお答えするというのはなかなか難しいことではございますけれども、私どもが入手可能な情報に基づいて把握している限りで申し上げますと、例えばということでございますけれども、公表されている資料のベースでは、米国では、大統領、副大統領はいわゆるクリアランスの対象外とされているというふうに認識をしておりまして、他方で、ヨーロッパのイギリスやフランスやドイツにつきましては、閣僚などまで含めてクリアランスの対象外とされているというふうに承知をしております。

○本庄委員 我が国として最も重要な機微情報の共有可能性のある国である米国では、私の知る限り、今話もありましたが、大統領、副大統領は対象外、ただ、閣僚はセキュリティークリアランスを受けているというふうに私は理解しているんですね。そうなると、例えば、ブリンケン国務長官はセキュリティークリアランスを受けている、我が国の上川外務大臣は受けていない、こういう状況になるわけです。私、望ましくないと思うんですね、機微情報を共有するに当たって。
 やはり、我が国の国務大臣等も、しっかりとクリアランスを受けた人が機微情報に、特定秘密あるいは重要経済安保情報に接するべきだというふうに思いますが、高市大臣、いかがお考えでしょうか。

○高市国務大臣 閣僚の人事権は総理にございます。その中で、現行法でしたら、特定秘密を取り扱うということを前提に、それも含めて、どういう方がふさわしいかということを考えて任命をされていると思います。閣僚にしても、副大臣にしても、政務官にしても、今回の法律案でも、重要安保情報を漏えいした場合には五年以下の拘禁刑ということで罰則の適用はございます。
 実際、私も、自分が閣僚になる前にどういう内容の身体検査をされているのかは承知をいたしておりません。どこまで内閣で調べられているのかということは、むしろ知りたいなと思っているぐらいで、承知はいたしておりません。
 が、総理の人事権でございますので、以上のお答えになります。

○本庄委員 今ほどの大臣の御答弁で罰則があるからというお話なんですが、そうであれば、一般の職員も国家公務員法を強化して罰則を重くすればいい、こういう話にもなりかねないわけですよね。公務員は入口の段階でクリアランスを受けさせるわけじゃないですか。私は、政治家だけが別だという理由は、少なくとも今の御説明の中ではよく分かりませんでした。
 今回の法案に入っていないことは私も承知をしておりますが、是非、国務大臣もセキュリティークリアランスの対象にするということについて政府の中で検討していただきたいというふうに思います。 副長官は以上です。ありがとうございました。
 続きまして、適性評価の二つ目として、クリアランスを取得した人の証明、あるいは成り済ましの防止についてお伺いをしたいと思うんです。
 これは二十二日の委員会でも大臣の御答弁がありまして、私もこだわっていて、まだ役所内で議論をしている、現在、特定秘密保護法に基づく適性評価の結果というのは公印を押した紙を一枚もらうという話を聞いた、証明方法は物すごく大事だと。おっしゃるとおりで、通知書一枚だというふうに思います、今現状。私、ちょっとこれじゃおぼつかないとは思うんです。大臣はこういうふうにもおっしゃっているんですね。顔写真つきで、英語表記もあって証明できるようなものがあった方がいい、これは自分の意見だ、どうなるかは法律を認めていただいた後検討する約束になっているということなんです。
 この法案が通った後に、セキュリティークリアランスホルダーの証明、あるいは成り済ましの防止について、どこかで検討して結論を得る、そういうお考えなんでしょうか。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○高市国務大臣 国際的な協力枠組みの中でどうなるのかということを私は考えました。そういう国際的な協力枠組みの中で必要な場面におきまして、評価対象者がどうしてもクリアランスを保有しているということを外国政府などに示すような場合に、それが本当に真正なものなのかということ、正しい証明なのかということをどう確認するかというのは必要だと思いますので、これは法律案をお認めいただいた後に検討しなければならないと思っております。
 現在の紙一枚というのは日本語で書かれておりますので、日本が英語圏でないということもございますし、そこは検討したいと思っております。

○本庄委員 対外的なものもありますが、日本の政府として、どこの誰が有資格者、ホルダーなのかということの正確な把握も必要だと思うんです。
 これはちょっと通告はしていませんが、今、特定秘密はどうやって個人を特定しているんですか、成り済ましなどができないように。これは事務方で結構ですが、分かったら教えてください。

○岡政府参考人 お答えいたします。
 そもそも行政機関内部で確認するための書類でございますので、特段の成り済ましの防止措置、例えばホログラムとかそういうものは講じておらず、通常のコピー用紙に印字をして必要な印を押すなりの措置を講じた書類を用いているというところでございます。

○本庄委員 行政職員は身分証明のためにマイナンバーを登録していると思うんですね、基本的に。なので、紙一枚でも成り済ましが防げるのかもしれません。
 ただ、重要経済安保情報ということで民間の方々を広く対象にしていくとなると、私は紙一枚で本人特定というのは難しくなってくると思いますが、今後、クリアランスホルダーの証明や成り済ましの防止のためにマイナンバーあるいはマイナンバーカード、これを使っていくということは政府として想定されていますか。

○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣からも申し上げましたとおり、国際的な協力枠組みの中などの必要な場面において、クリアランスを保有していることを外国政府などに示すことができるような仕組みの在り方については考えていく必要があると認識しております。
 現時点におきましては、御指摘のマイナンバーカードのデータとひもづけるということは検討しておりませんけれども、いずれにせよ、今後、対外証明の方法等について詳細を検討してまいりたいと考えております。

○本庄委員 何万人という民間の方を対象にしていくとなれば、今のやり方以外の別の方法を多分考えていかなきゃいけなくなるというふうに思います。今、想定していないということでしたけれども、否定もありませんでしたので、これも含めて恐らく今後政府は検討していくんじゃないかと私は思いますが、またその際には様々な議論をさせていただきたいというふうに思います。
 さて、じゃ、ちょっとテーマを変えますが、重要経済安保情報と特定秘密の定義、範囲、そして両者の整合性ということでお伺いをしていきたいと思います。
 先ほど後藤委員が図表を使って質疑をされましたが、その中で高市大臣のお答えは、重要経済基盤保護情報、その前に、私がちょっと配付している図表も御覧いただきたいと思います。特定秘密と重要経済安保情報の比較ということで、後藤委員と同じような四角のマトリックスの表をお配りしております。
 この右上の、経済安全保障分野であってトップシークレット級あるいはシークレット級のものというここの中の話ですけれども、大臣は、重要経済基盤保護情報に該当しトップシークレットあるいはシークレットに該当する、ただし特定秘密に該当しないもの、これについて、今政府の中にはまずない、今はないということ、それから、理論上あり得るが想定されないというふうにもおっしゃいました。
 なぜ想定されないんですか。

○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの議論にもありましたように、委員御指摘の右上の部分でございますか、その部分については、理論的に存在することを否定するものではございません。
 ただし、政府部内におきまして、関係省庁にいろいろと聞き取り等を行いました。その結果、特定秘密保護法の要件への当てはめ等を検討した結果、実際には現時点においては想定されないという判断に至ったところでございます。

○本庄委員 これは特定秘密に該当するから想定されないというお考えですか。仮に、重要経済基盤保護情報であっても、そしてトップシークレットやシークレット級の、要は著しい支障が生じるような情報であっても、それは特定秘密の方でカバーできるから今回の法案では想定されない、こういう考えですか。お答えください。

○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 現時点において想定される情報、そういったものを念頭に検討した結果でございます。そういった情報の中で、いわゆる著しい支障を与えるおそれのある、そういったトップシークレット、シークレットに当たるもの、重要経済基盤保護情報の関係でございますけれども、そういうものについては特定秘密保護法の要件に該当する可能性が高いのではないか、そういうことでございます。
    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

○本庄委員 それは、今政府が、運用基準を変えて特定秘密の範囲を広げていこう、こういうふうな方針をおっしゃっているからカバーできるということじゃないんですか。
 特定秘密保護法は、まず安全保障四分野に限定されていますよね。防衛、外交、スパイ防止、そしてテロ防止、分野はこの四つに法律で明記をされている。そこでまず読めるものに限定をされるということです。今でも貨物だとかサイバー攻撃だとか経済安全保障的なものはカバーされていますが、ここの運用基準を幾ら広げても経済安全保障全てまで広げられると私には思えないんですね。
 更にもう一つ網がかかっていまして、国の存立に関わるというのも条件になっていますね。相当重大な、重要なものでなければ特定秘密とは読めないというわけです。
 政府はシームレスだというふうに胸を張っていらっしゃいますけれども、私はここに隙間があるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

○高市国務大臣 特定秘密保護法、いわゆる諸外国でいうトップシークレットやシークレットに対応するものですが、これに次ぐコンフィデンシャル相当の情報類型がカバーされていないという課題がやはりございました。安全保障という言葉も今回御審議いただいている法律案の中に入っておりますが、この安全保障の裾野が防衛や外交といった伝統的領域から経済、技術分野に拡大してきている、こういったことの中で、経済安全保障分野でも情報管理に万全を期す必要が高まっているという認識から、この法律案を提案させていただいております。
 シームレスといいますのは、今後、法律案をお認めいただきました後に、政令で指定するものもありますが、運用基準、これも閣議決定で定めてまいります。この法律案についても、何が対象情報かというのをより皆様に分かっていただく、理解しやすくするために明確にしてまいりますし、また、特定秘密保護法の運用基準に関しても、本当に必要なものが迷うことによって指定されないということでは困りますので、何かつけ加える、補強する部分はないのか、分かりにくいところはないのかといったところももう一度見直して、二つの法律を用いて、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルの情報をしっかりと保全する体制をつくっていくということで、運用基準の見直しについては、法律案をお認めいただきましたらほぼ同時にスタートしてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

○本庄委員 ですから、本来であれば、特定秘密保護法の四分野を拡大するのか、あるいは、今回の法律の中でトップシークレットやシークレットまでカバーをする、いずれかを選択すれば、本当の意味でシームレスで、全てを、このマトリックスでいう一番右の上のところがカバーできるということになるわけですけれども、今、私は、そういう体制になっていない、もしそれをやろうとすれば、運用基準をどんどん広げてそれで読めるようにしていくしかない、こういうことになっていくというふうに思うんですね。私は、これはやり方として非常に、正攻法じゃないやり方を今政府は取られているというふうに認識をしています。
 そのことを申し上げた上で、今大臣からちょっと言及がありましたコンフィデンシャル級のお話なんですが、今回、経済安全保障分野については重要経済安保情報ということでカバーをされることになりました。他方で、従来、特定秘密保護法がカバーしていたような安全保障四分野については、トップシークレットやシークレット級は特定秘密となりますが、その下にあるコンフィデンシャル級、これは一般的な国家公務員法でしかカバーされていない、今もこれからもということで、非常にここの分野、部分が保秘という意味では弱くなっているわけですね。
 一方で、経済安全保障の方は、今回、拘禁刑が最長で五年というかなり重い罪になるわけですが、コンフィデンシャル級で、防衛や外交やスパイ、テロという従来の特定秘密保護法がカバーしていた分野について非常に手がついていないことについて、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

○高市国務大臣 今回の法律案と特定秘密保護法、いずれも情報保全を目的とするものでございますから、両方の、お認めいただいたらですが、二つの法律の運用基準を見直してシームレスにしていくことによって御懸念のような点は解消していくと思っております。
 また、今回、罰則を検討するに当たりましても、自衛隊法ですとか国家公務員法、これはもし知り得たことを漏らしても一年以下の懲役、特定秘密保護法、これは十年以下となっておりますので、それらとのバランスも考えながら、五年以下の拘禁刑ということを考えました。
 運用についてシームレスにしていくということで、できるだけ漏れがない形、日本にとって真に守るべき情報というものの保全に漏れがない形をつくってまいります。

○本庄委員 漏れがないとおっしゃっているけれども、漏れがあるから私は申し上げているんですね。
 もう一回配付した資料を見ていただきたいんですが、一ページの一番上です。安全保障四分野、防衛、外交、スパイ、テロの分野でコンフィデンシャル級、漏えいすれば支障というところについては、今回法的な手当ては何もなされていません。ここは、仮に情報漏えいをしたとしても懲役一年、これが最長刑ですね。他方で、今回できる経済安保情報については、同じコンフィデンシャル級ですけれども拘禁刑五年ということで、一年と五年という差があるわけですね、分野が違うことで。
 私は、ここがアンバランスではないですか、シームレスと言えるんですかということをお伺いしております。事務方でも結構です、お答えください。

○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、委員御配付の資料にありますように、左下の部分でございますけれども、その部分については各省庁において対応が行われているということで、例えば防衛省でございましたら省秘という形での秘密の保全等が図られているというふうに承知しておるところでございます。
 今回の法案におきましては、経済安全保障分野における情報保全の必要性が高まっている、そういう背景を基に、経済安全保障分野における情報保全、いわゆるコンフィデンシャル級に相当する情報保全を行うという制度を新法として提案させていただいているところでございます。

○本庄委員 全く答弁になっていないですね。
 いいですか。何で、経済安全保障分野であれば拘禁刑五年で、防衛、外交、スパイ、テロ分野であれば懲役一年なんですか。経済安全保障分野が重要だから、これも懲罰、罰則の対象にすることにしましたというところまでは理解できますよ。なぜこっちの方が重いんですか。その説明になっていないんです。お答えください。

○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案の罰則につきましては、本案の対象としております情報がコンフィデンシャル級であるということに鑑みまして、特定秘密保護法における罰則等との関係を考慮した上で、五年以下の罰則としたところでございます。
 繰り返し申し上げますけれども、本法案は、経済安全保障分野における情報保全の必要性というものが高まっているということを背景に提案したものでございまして、それ以外の分野につきましては、これまでと同様、各省庁においてしっかりと対応していくということかと思います。

○本庄委員 ちゃんと答えていただきたいんですね。
 特定秘密はトップシークレット、シークレット級、漏えいすれば著しい支障、重い、だから十年、重要経済安保情報はコンフィデンシャル級、それよりも軽いから五年、これは分かりますよ。だけれども、同じコンフィデンシャル級なのに、防衛、外交、スパイ、テロであれば一年なんですね。この差は何ですかと聞いているんです。ちゃんと答えてください。

○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、罰則に差があるということについては御指摘のとおりかと思います。
 その上で、御指摘の安全保障分野以外の分野についての罰則をどうするかということにつきましては、引き続き今後検討していくべき課題かというふうに思っております。

○本庄委員 これは、法の下の平等というか、法治国家としておかしいと思いますよ。経済安保情報であれば五年、防衛、外交、スパイ、テロであれば一年、同じレベルの情報であっても。これは完全に法律の不備だと私は思うんですね。
 いずれにそろえるのがいいかどうかは別として、やはり同じレベルであればきちっとそろえていった方がいいんじゃないですか。大臣、どう思いますか。

○高市国務大臣 今回、法律の目的として、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立するということで、あと、収集、整理、活用するということの重要性に鑑みて、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とするということ、これを目的として、我が国の国益を守る、また国民の皆様の安全を守るために非常に急ぐべきこととして、この新しい法律案を提案させていただきました。
 そして、本当に、身体に危険が及ぶ、また国家の存立に関わるような、著しい、安全保障に関わるものについては、これは特定秘密保護法で対応されるべきだと私は思っております。
 ですから、特定秘密保護法と今回の重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案、これをシームレスに運用していくということで、私は一定の情報保全の体系というのはできていくと思っております。
 その他、コンフィデンシャル級の、外交ですとか、防衛ですとか、テロですとか、スパイですとか、国家公務員法の規定で十分なのかどうかということにつきましては、改めて今後検討する、その余地はあると思います。

○本庄委員 シームレスじゃなくて、凸凹じゃないんですか。
 お答えになっていませんので、理事会に政府の見解をきちっと紙で出してください。
 私の問いは、同じコンフィデンシャル級なのに、なぜ、経済安全保障分野は拘禁刑五年で、防衛、外交、スパイ、テロ分野については懲役一年なのか、この差は、理由は何かということと、ここに問題があるのではないか、法的にですね。これについてきちっと答えていただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。

○星野委員長 理事会で協議します。

○本庄委員 もう一つ、このアンバランスについて指摘をさせていただきたいんですが、法人に対する罰則ですね。
 今回、重要経済安保情報、これを漏えいすると法人にも罰則の適用があります、コンフィデンシャル級ですけれども。他方で、トップシークレット級、シークレット級である特定秘密であれば、法人には罰則がないんですね。
 より重要な情報について法人の罰則がないにもかかわらず、今回の経済安保については法人にも罰則がある。この差異、違いについて理由をお聞かせください。

○飯田政府参考人 お答えいたします。
 今回の法案におきまして法人を罰する規定を設けましたのは、今回の法律が、特定秘密保護法とは異なりまして、重要経済安保情報を民間と共有し、そして活用していくということを前提とした法案として提案をさせていただいておりまして、その結果として、適合事業者に対して重要経済安保情報を提供することになるわけでございます。
 その際、重要経済安保情報といいますのは、いわゆる企業の事業活動にも関わるものが多くなる、あるいは、適合事業者も、特定秘密保護法では極めて限定された範囲で、そもそも、政府の業務の遂行のためにやむを得ない状況で非代替性が認められたときに民間企業に共有するものとは違って、広範囲な事業者への提供も想定されるということで、その事業活動の中で法人がその従業者に事業活動の一環として重要経済安保情報を漏えいさせるといったようなことが想定されるために、その抑止として法人両罰規定を設けたものでございます。
 その上で、そもそも、重要経済安保情報を取り扱っている業務の中でこれを漏えいした従業員については五年間の拘禁刑と五百万円の罰金ということでございますので、その従業者を雇用している、まさに業務上の指示をした法人についても罰金刑五百万円を科するということで整理をさせていただいたところでございます。

○本庄委員 今、重要経済安保情報の漏えいについて法人にも罰則を科すという理由の説明がありましたが、私は特定秘密の方に科されていない理由はなかったと思うんですね。
 なぜ特定秘密の方は法人の罰則はないんですか。情報漏えい、しかも、これはより重い、より重度な情報じゃないんですか。いかがですか。

○高市国務大臣 先ほどの説明の中に、特定秘密保護法に関しましては、やはり非代替性、つまり、行政機関の所掌事務の中でどうしても適合事業者に頼まなければ成り立たない、立ち行かないような、非代替性ということは非常に限定的になっておりますので、しかし、今回の法律案というのはかなり幅広い民間事業者を対象にしているのでということで、差異がございます。

○本庄委員 防衛、外交、スパイ、テロの特定秘密に関わる民間の事業者が法人として罰則がないというのは、私、これは穴になっていると思いますよ。経済安保情報の方だけに罰則があるというのは、私はバランスを失しているというふうに思います。
 時間も限られております。最後に、基幹インフラの港湾の追加について、ちょっと私、大臣にお伺いしておきたいと思うんですね。
 今回、改正案ということで経済安保推進法は出てきておりますが、法律が成立したのは二年前、二〇二二年の五月ですね。今回の法改正の端緒となった名古屋港のサイバー攻撃は、法律の成立から僅か一年後ですよね。法案審議でも港湾については指摘を受けていましたが、その必要はないということでそのままの法律が通った。一年後に事件が起きた。そして、二年後に法改正ですと。私、ちょっと見立てが甘過ぎたんじゃないかと思うんですね。いかがお考えですか、大臣。

○高市国務大臣 私もそう思います。
 当時の検討が必ずしも十分でなかったため、御指摘のような事案が発生したものと思っております。

○本庄委員 私もそう思うんです。
 でも、大臣、国会の答弁で、当時は、港湾というのは紙でいろいろやり取りをしているから大丈夫だ、でも、だんだんシステム化が進んできて、今回のような事態が起きた、こういうふうに答弁されているんですが、金曜日の内閣委員会で。
 私は、今の一年、二年という時間を考えれば、だんだんとシステム化が進んできて見落としたというようなものじゃなくて、完全な見落とし、ミスだったと思うんです。私、このことをやはりまず政府として率直に認めてから、この法案の中身について議論してもらいたいというふうに思います。そういった真摯な御答弁がこれまでなかったので、あえて最後に言わせていただきました。是非、同じようなことがまた起きないように、よろしくお願いします。
 私からは以上です。ありがとうございました。