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12/16 政治改革特別委員会(答弁)

本庄さとしYouTube

質問要旨

(質問者)

①長谷川淳二委員(自民)

②小泉進次郎(自民)

議事録

(質問者  長谷川淳二委員)
○渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。
○長谷川(淳)委員 自由民主党の長谷川淳二でございます。
我が党が党内で議論を重ねて提出した法律案に対して、様々な御指摘をいただいているところでございます。
まず、我々が立脚すべき立法意思は、平成六年の政治改革合意を踏まえ、政党本位の政治を目指す理念の下、成立した改正政治資金規正法の附則十条、すなわち、「政治資金の個人による拠出の状況を踏まえ、政党財政の状況等を勘案し、会社、労働組合その他の団体の政党及び政治資金団体に対してする寄附のあり方について見直しを行うものとする。」これが我々に課せられた立法意思でございます。そのことを再度確認をさせていただいた上で、確認すべきものは確認させていただくという趣旨で、立憲民主党提出の衆法第一〇号について質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、立憲提出の法案では、企業・団体献金の全面禁止の対象は、全ての企業、団体ではございません。政治団体を除くとしております。このために、いわゆる抜け穴があるというふうな指摘がされているところでございます。
これまでの御答弁では、労働組合、企業が自発的に政治団体を結成し、自発的に個人寄附を受けるようにすれば問題ないと。そのために、雇用関係の不当利用等による寄附等の禁止、衆法第一〇号の第二十二条の六の三、この規定を盛り込むというふうに言われております。
せんだっての答弁では、労働組合の幹部が組合員に対して組合系の労働組合に寄附を呼びかける行為は抵触しますかと大串提出者にお尋ねをさせていただきました。これに対して大串提出者は、
雇用関係をベースに、反対できないような状況で政治団体に加入させるようなことがあってはならないというような考えから書いている条文でありますと。雇用関係をベースに、反対できないような状況で政治団体に加入させるようなことがあってはならないというふうなことを答弁されています。
その続きで、端的にお伺いいたします。
我が国日本では、古来から、いわゆる奉加帳形式、組合が、あるいは企業が、組合内部や企業内部の方に呼びかけて、例えば、労働組合系の政治団体へのカンパを呼びかけて氏名とか寄附額を書いてもらうという奉加帳形式による組合の献金、個人献金の呼びかけ、こうしたものは、実際問題としては、おつき合いで寄附をせざるを得ない、カンパをせざるを得ないという側面もあると思うんですけれども、このいわゆる奉加帳方式による寄附の勧誘というのは、この条項に抵触するんでしょうか。
○本庄議員 長谷川委員にお答えいたします。
まず、御質問の中で、会社や労働組合がつくる政治団体という御発言がありましたが、それは我々の提案内容と違いまして、会社に所属する会社員個人、労働組合に所属する労働組合員個人が結成する政治団体だということがまず大前提だということを御理解いただきたいと思います。
それで、芳名帳方式とかですか、形はともかく、我々の申し上げていることは、憲法上の保障される政治活動の自由、結社の自由という観点から、個人が自由な意思で政治団体を結成、加入し、寄附を行うことまでも禁止はできないという考えに基づいています。その手法、やり方、あるいは名前を書く云々という外形の問題というよりも、実態面として、本人の自由な意思に基づいているものなのかどうか、これが一番重要なポイントだというふうに考えています。
抜け穴という話がありましたけれども、我々は、抜け穴は塞いでいるというふうに理解をしています。そもそも、我々の法案では、企業・団体献金、括弧、政治団体を除くですけれども、これは禁止となります。加えて、今申し上げました雇用の不当な利用、あるいは会費相当の支払いということも禁止をするという、この二つのルートからの遮断をもって抜け穴を塞いでいる、こういう認識でございます。
○長谷川(淳)委員 抜け穴を塞いでいる、この第二十二条の六の三。これは、これまでの答弁でも、よりよい提案があればお聞かせいただきたいという答弁でございます。決して実効性がないと言うつもりはありませんけれども、やはり、この条文で果たして自発的な意思による寄附が担保されるのかということは、引き続き疑問があると指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、抜け穴ということの御指摘をさせていただかざるを得ないもう一つの点が、やはり公開性の問題だと思います。
せんだっても御指摘させていただきましたが、労働組合系の政治団体から国会議員の後援会等の政治団体に多額の献金が支出をされていることを御指摘させていただきました。その政治団体の名称を見ると、どこの組合系とはこの場では申し上げませんが、片仮名言葉とか、およそ抽象的な名称で、およそ労働組合系の団体とは想像もつかないような政治団体から国会議員個人への献金、後援会等の政治団体に多額の献金がなされているんですね。
企業、団体からでは禁止されている個人の後援会への支出、これも、政治団体からであれば個人の後援会等の政治団体への寄附は認められています。こうしたことを考えると、政治資金の流れをかえって不透明にさせかねないんじゃないか。どこの系統の政治団体かも想像もつかないような団体から多額の献金が国会議員の後援会等の政治団体に渡っている、これについては、やはり政治資金規正法の趣旨である公開性の原則を後退させかねないというふうに思うんですけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○本庄議員 まず、今おっしゃったお話、具体的にどこのどのお話か私は分かりませんが、いずれにしても、現行法に基づいて適法に行われているものだというふうに認識をしています。
その上で、そもそも、企業・団体献金を全面的に認めろとおっしゃっている御党から政治団体のみ除くと言っている我が党に対して、そういった複雑だとか分かりにくいという御批判をいただくということが私にはよく理解できません。政治団体が残るという、もしかしたら抜け道かもしれないものが仮にあるとしても、その残りは全部封じるわけですから、私は、御質問の意図が理解できないし、何らか御指摘を受ける立場にもないというふうに思います。
○長谷川(淳)委員 まさに法人の企業の献金について問題であるということでございますけれども、平成六年政治改革以降の帰結が、政党本位の政治、政党本位の選挙制度や政治資金制度でございました。これはもう御案内のとおり、企業・団体献金についても政党に一元すべきという考え方の下に、企業・団体献金については、もう既に、平成十一年改正では、政治家個人の資金管理団体に対する寄附は禁止され、そして受け手は、現状、政党に一元化されております。したがいまして、これが不明朗だという指摘は当たらないと思います。以来、政治団体に対する寄附のうち、政党に対する割合が着実に増加をしています。これは政党本位の政治改革の帰結だと思います。
ところが、今回、企業、団体からは禁止されている個人の後援会等の政治団体への寄附、これは政治団体からであれば認められています。したがいまして、提案者である立憲民主党が、企業、団体から政党への献金を禁止しながら、労働組合系の政治団体が政党以外の政治団体への多額の寄附を温存するのであれば、平成六年以降積み上げてきた政党本位の政治に逆行するものじゃないかと考えますけれども、見解をお伺いします。
○本庄議員 お答えいたします。
全く逆行ではありませんで、前進だと思いますね。企業・団体献金そのものをまず禁じるわけですから、組合から直接お金を入れるようなこともできなくなります。組合系政治団体というのも存在しないわけです、今後、我が党の提出法案が成立すれば。あくまでも個人が自分の意思で結成する政治団体です。そこに何か強制性などがあればそれは問題ですが、それは認めない、こういうたてつけになっておりますので、御懸念のようなことは生じないというふうに考えます。
○長谷川(淳)委員 我が党は、政党本位の政治を実現するためには、やはり、幅広く地域や職域に組織を広げまして、民意を酌んで、国民の声を政党を中心として反映していく、そういうことが政党本位の政治には必要と思います。そのためにはやはり、個人献金、企業・団体献金、公的助成のバランスが、幅広い民意の酌み取り、酌み上げることには私は不可欠だと思います。そして、企業においても、政治活動の自由の一環として、献金が憲法上、自由の一環として保障されているわけでございます。
我が党は、政党に対する企業、団体の献金は必要である、その上で、政治資金規正法に基づく公開を通じて、国民の不断の批判と監視の下にその適正性を確保すべきということを改めて強調させていただきたいと思います。
次に、公開方法工夫支出についてでございます。
これは端的にお伺いいたします。
我が党の公開方法工夫支出は、いわゆる渡し切りの方法による政策活動費を全廃をいたします。その渡し切りの方法による支出を全廃することに伴う影響として、外交や国の安全上の機密にわたる支出、あるいは法人や個人に対する業務の秘密やプライバシー、それについては、公開を前提とした上でもなお、一部氏名や企業名等を非公開とせざるを得ないんじゃないか、そういう御提案をさせていただいています。
立憲提案でございますと、氏名や住所を明らかにしていない、したくないという個人や法人がいても、必ず氏名や住所、その支出日が公開になるという理解でよろしいんでしょうか。
本庄議員 非課税の政治資金を使う以上は、公開というのが大原則です。現行法でも、例えば一万円未満の支出が非公開だったりとかいろいろありますけれども、原則公開ということで、今おっしゃったような御理解で結構だと思います。そこまででいいですか、答えは。(長谷川(淳)委員「原則ですか」と呼ぶ)いや、御党の三項目についても言及した方がいいですか。
まず、御党がおっしゃっている外交、安全保障関係支出、これは、具体例として議連活動等を通じた議員外交など機微な外交交渉を挙げていらっしゃるんですけれども、御案内のとおり、収支報告書に相手方の名前が載るというのは、直接何かお支払いをした場合ですね。私、逆に伺いたいんですが、そういった外国関係に御党は直接何か支払いをされたりしているということなんでしょうか。ちょっと私はそこが疑問なんですが。いずれにしても、本当に機微な外交であれば、これは、政府の官房機密費等を活用して、しっかりやられたらいいんじゃないでしょうかということ。
それから、法人、団体に関する業務秘密関係支出ですか、これも、領収書、収支報告書上は、企業の名前、支出年月日、あるいは金額だけですね。営業秘密を知り得る余地というのは、私はないというふうに思っています。
三点目もありますが、いいですね。はい。
○長谷川(淳)委員 我が党の考え方は、いわゆる渡し切りによる支出を全廃をし、政党幹部に対する、使途が明らかにされない政策活動費は全廃をいたします。
渡し切りの方法を全廃した影響として、今ほど申し上げた、支出について、外交や国の安全上の関係、あるいは法人や個人の相手方との関係で、明らかにできないものがどうしても生じ得るのではないか。そのぎりぎりの、政治資金規正法の公開の要請と相手方のそうした法益とのぎりぎりの調整の上に、公開方法工夫支出を提案させていただいております。これが、全て公開するということであるならば、出さないということなのか、あるいは、あってはならないと思いますけれども、違う方法で出すというような形であれば、脱法行為というような指摘も免れ得ないと思います。
御党も、せんだって議論になりましたように、調査委託費という形で議員に支出をされています。これは、大串委員も言われたように、源泉徴収をして適正にやっています、そういうふうに理解をさせていただいています。ただ、渡し切りの経費による支出の禁止は、落選議員であっても、党の構成員であれば禁止になります。
脱法行為であるかということについて厳しい指摘がなされ、まさに政治資金規正法の趣旨である不断の監視と批判の下にさらされるということについて、我々は、真っ正面から認めた上で、公開方法工夫支出を設けるという提案をさせていただいたということを強調させていただいて、質疑時間が終了いたしましたので、終了させていただきます。
ありがとうございました。

(質問者  小泉進次郎委員)

小泉(進)委員 今、企業のことを言いましたけれども、これは政治団体の関係、労働組合の関係もあるんですね。
令和五年分、令和四年分、令和三年分の収支報告書を調べますと、例えば、ある立憲民主党の所属の国会議員の政治団体は、一つの労働組合系政治団体から一年間で五千万円もの寄附を受け取っています。ほかにも、二年間で七千万円、そして、公認料やパーティー券購入代と合わせて二年間で三千二百五十万円もの多額の政治資金を受け取っている例もあります。
このような状況を踏まえて、改めて問いたいんですけれども、立憲さんなどが提出をしている企業・団体献金禁止法案によれば、労働組合系の、労働組合関係政治団体は引き続きこのように献金が可能ですか。
○本庄議員 お答え申し上げます。
まず、労働組合関係団体ですか……(小泉(進)委員「政治団体」と呼ぶ)政治団体という定義はありませんし、何かあたかもこの法律でそういった規定があるかのような御質問の仕方は私はやめていただいた方がいいと思うんですが、そういった規定も定義もありません。
我々は企業・団体献金そのものを禁止するわけです。したがって、労働組合がつくる政治団体というものはもうなくなるわけですね。そこにある資金も、個人が自らの意思で結成した政治団体に個人の意思で集めたお金が原資、そういう政治団体ですから、おっしゃるような企業・団体献金に該当するかという御質問については、該当しないということになります。
○小泉(進)委員 これは先ほどの長谷川議員のやり取りとも通ずるんですけれども、そこはかなり巧妙な答弁になっていますね。いわゆる個人の意思に応じてつくられた政治団体であるから、これは個人のものであって、労働組合系政治団体とは呼ばないという説明をされています。
一方で、その政治団体は、労働組合の活動を応援しているということをホームページ上でも公言をしていて、かつ、この政治家を応援をしますということも明確にしていて、その政治関係団体は、我々は労働組合系政治団体というような言い方をしますけれども、そこはこれからも、今までのような献金というのは可能なんですよね。我々は、その政治団体を除くというところに対して指摘をしている理由はそこです。
そして、我々が企業・団体献金の禁止ではなく公開だと何度も言っているのは、仮に、労働組合の支持母体による議員活動をされている方々の中には立派な方もいらっしゃって、その方々は政策がゆがめられているんですか。ゆがめられていないと言うから、皆さんは、まさに野田代表が言うとおり、完全に悪ではないから今までもらってきたわけですよね。
そうしたら、企業・団体献金を受け取っているという、我々自民党も受け取っていますけれども、今までの説明を聞いていると、自民党が企業・団体献金をもらっているのは悪、しかし、野田代表も含めて立憲民主党の方が企業・団体献金をもらっているのは悪ではない、そして政策はゆがめられない、しかし、自民党が企業・団体献金をもらうと政策がゆがめられている、これはちょっとおかしいと思いませんか。
○本庄議員 二点お答えしたいと思いますが、まず、現行法でやっている話と、これから、我々が提案している企業・団体献金が禁止された後の話を、私、今混同されているように思うんですね。今、何千万だという話は、これは現行法、企業・団体献金が認められている前提での政治団体、労働組合が中心になってつくっている政治団体の寄附ですね。こういったことは今後できなくなりますよと言っているんです。そこをまずきちっと踏まえていただきたいと思います。
その上で、野田さんの企業・団体献金は悪じゃなくて、自民党の企業・団体献金は悪なのかという御質問がありました。
私も、一概に自民党は駄目、立憲は大丈夫だと言うつもりはありません。ただ、現に、この五年以上、十年近く、企業、団体、あるいは政治と金の問題で逮捕されたり起訴されたり議員辞職しているのは一体どこの党でしょうか。立憲民主党はいませんよ。御党だけじゃないですか、公明党さんももう一人いるけれども。やはりこの現実を見ていただきたいんですよね。ゆがめられている人たちがいる、党があるかもしれない、だから全体として禁止しようと言っている、それだけの話です。
以上です。
○小泉(進)委員 そういうルールの中でやれない方は、当然、逮捕されたり事件化されるわけですよね。我々の政党の中でそういうことがあったから今こういう議論になっているのはそのとおりですよ。だから我々も、今、どのように一致点を見つけられるかということで真摯に努力をしているわけです。なので、現場の、今同時進行で、修正の協議も含めて行われているわけですよね。
そういったことを考えたときに、やはり、どっちのあれが黒か白かとか、そういったことではない議論を、今、我々現場では落合筆頭や後藤理事も含めてやっているときに、代表の方が、のみなさい、こういった姿勢で、落合さんも後藤さんも
かわいそうだなというふうに、現場を今見ている者としては思いました。答弁をされている方も、こんな質問をされて厄介だなと、本庄さんも笑っていますけれども、そういう気持ちだと思います。
なので、私が今日申し上げたいことは、今日に至るまで、一致点を見るための努力をし続けてきたわけです。そして、仮に今国会で意見の一致を見なかったものも、これからどのようにお互いがフェアな立場で、それぞれの政党の成り立ちなど、そしてまた収支の構造の在り方の違いなども踏まえた上での、前向きで建設的な、そして冷静な議論をしなければならないときに、今、先ほど読売新聞の調査の話をしましたけれども、禁止ではなくて公開、こういった立場に一定の理解があるわけですよね。
ただ、私は、もう一つの論点の公開方法工夫支出については、国民の皆さんの目線は非常に厳しいものがあると思っています。なので、そこも含めて、今我々は修正の協議を含めてやっているわけですから、今でも、私は、仮に立憲さんが、そして各党の皆さんが政権与党を担うときに、一定の政党活動の中では公表の在り方に工夫が必要となるものがあるというふうに私は思っています。
それを、本当に、その在り方も含めてもう少し慎重な議論が必要だったのではないかということはありながらも、一致点を見る努力はしっかりとやらなければいけないと思っていますので、残りどれぐらいの時間数が残されているか分かりませんが、最後までそんな姿勢で向き合えたらと思います。どうぞよろしくお願い申し上げまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
ありがとうございました。