かわら版

かわら版 Vol.25「激論!本庄さとし vs 岸田総理」

予算委員会デビュー戦、政府提出の補正予算案をめぐり、岸田総理と激しい議論となりました。財政民主主義、予算単年度主義、財政健全化など、国の財政に対する私と総理の考え方の違いが浮き彫りになりました。

■予備費4.7兆円の「見せ金」

今回の補正予算案は、総額29兆円と明らかに過大です。
規模だけでなく中身も問題で、「見せ金」「つかみ金」「借りた金」(国債23兆円)でできた、ムダなぜい肉だらけの「メタボ予算」です。

まず「見せ金」、4.7兆円の予備費です。これは①コロナ・原油・物価対策で3.7兆円、②ウクライナ対応で1兆円というものですが、2つの予備費の違いも、計上した金額の根拠も、全く説明になっていません。

ウクライナ戦争は2月に始まり、コロナ・原油・物価予備費で対応してきました。今頃1兆円も追加して、何に使おうというのか。また、今年度は残り4か月ですが、なぜ年初と同じ5兆円近くの予備費が必要なのか。

総理は「危機感だ」と言いますが、ただお金を積み上げ、大きな補正予算を組んだから安心してくださいと言っているにすぎないのです。

本当に危機感があるなら、なぜもっと早く国会を開かなかったのか。なぜ国会召集から2か月も経ってから補正予算が出てくるのか。全くつじつまが合いません。

■50基金 8.9兆円の「つかみ金」

次に「つかみ金」、8.9兆円の基金です。複数年度に渡って弾力的な支出が求められる基金は、本来、年度初めの本予算で措置すべきです。「緊急に必要な経費」である補正予算にはなじみません。

しかし、総理は「政府として大きな方向性を示すことに意味がある」「迅速に対応できる」などと繰り返し答弁、最後まで議論はかみ合いませんでした。

例えば、昨年12月の補正予算でも、経産省は1.9兆円の基金を積みましたが、年度内に支出したのは1200億円、わずか6.2%です。緊急に必要な予算でも何でもありません。こうした反省もなく、今回の補正予算でも過去最多の50基金が積まれているのです。

年末のドサクサまぎれに「器」だけを用意して、税金を放り込むようなやり方は、根本的に見直すべきです。日本の財政は危機的です。

■「保険証廃止」に至った政策決定プロセスは

6月の骨太方針(閣議決定)では、「保険証は原則廃止、しかし、加入者から申請があれば交付される」となっていました。当時の後藤厚労大臣も、「保険証は保障する」と国会で明確に答弁しています。

そのわずか4か月後に、河野大臣が突然、記者会見で「保険証廃止」を発表します。この間の政策決定プロセスを問いましたが、河野大臣は「関係閣僚での協議を経て、メリットを早期に発現するため、廃止を決定した」と答えるのみで、まともな説明はありませんでした。

マイナ保険証にメリットがあることと、従来の保険証を廃止することは次元の異なる話です。希望しない人にまで、事実上マイナ保険証を義務付けていく今の岸田政権のやり方は、極めて問題です。

総理の答弁は総じて長く、中身もありませんでした。そこを突き崩せるよう、さらに腕を磨きたいと思います。

2022年12月1日